冒頭でオシャレな映画と言ったが、この映画、とにかくグリコを取り巻く世界感がいいのだ。それこそ、この作品全体が作中に登場する「YEN TOWN BAND」の音楽PVかと思うほどに。
YEN TOWN BANDは作中でグリコを中心に結成された架空のバンドとなっているが、現実でも、音楽プロデューサーの小林武史氏のプロデュースにより、同名バンドで実際にアルバムとシングルをリリースし、好調なヒットを記録した。その点で言えば、この映画のグリコ役としてCHARAをキャスティングし、歌わせた事が出来た時点で、8、9割完成している。世界観はハッキリ言ってなんかよくわからないのに、CHARAの存在感と、音楽のを絡めた映像の雰囲気だけで、この映画を印象深いものにしている。群像劇気味な本作だが、その中でも主役級の扱いがアゲハとグリコだとは思う。さらにメインとなるのは登場シーンの尺的にアゲハだとは思うが、シーン個々の目立ち方だとグリコの方が圧倒的だ。それほど、CHARAの存在がこの作品では強烈なのだ。