「赤上げて、白下げて−−」、「天然ボケ」、「ウケる」、「最初はグー。じゃんけん、ホイッ!」など、江戸で腕を磨いたコメディアンから生まれた言葉は、意外と多い。対して、“笑いのメッカ”関西からも、今では当たり前のように使われている言葉が誕生している。

 落語家の六代目・桂文枝が桂三枝だったころ、関西の大人気お笑い番組『ヤングおー!おー!』の1コーナーで考案したといわれているのが、「たたいて・かぶって・ジャンケンポン」。

 ジャンケンで勝った者は負けた者の頭をピコピコハンマーで叩くことができ、敗者はバケツ、桶、ザルなどで頭を防御。簡単な遊びとあって、その後はお座敷遊びに採りいれられた。現在でも、お笑い芸人があえてこの古典的ゲームに講じるのは、文枝師匠に敬意を表しているから?

 同じく、昭和の上方演芸を支えた吉本新喜劇。そのベテラン座員・島田一の介は昨年末、思わぬ形でフィーチャーされた。日本エレキテル連合の十八番「ダメよ〜、ダメ、ダメ」が、一の介の長年の持ちギャグ「ダメよ、ダメよ、ダメなのよ〜」と酷似しているからだ。

 もちろん、順番としては、還暦を過ぎている一の介のほうが先。だが、日エレの思わぬブレイクによって、パクリ疑惑が浮上した。関西でひっそり活動している一の介からすれば、その名が全国で報じられて、棚からぼたもち的に得をした?

 その関西は兵庫県・尼崎から飛び出たスター・松本人志は、新語生産工場といっていいほど、新しい言葉をどんどんメジャーに押しあげていった。

 たとえば、「サブい」。相手がすべったときの状況を指すが、この発信者は松本だ。さらに、言葉を滑らかに言えないことを「噛む」、状況を読めないことを「空気が読めない」、加害者側から攻撃されることを「逆ギレされる」など、松本の口から出る言葉は、のちにどんどん広がりを見せ、子どもからお年寄りまで知ることとなる。

 明石家さんまは、セックスのことを「エッチ」、1回離婚したことを「バツ1」と名づけた。無意識のまま使っている常用語。その生みの親が有名芸人であることは、珍しくないのだ。(伊藤由華)

【記事提供:リアルライブ】
情報提供元: リアルライブ