「豊臣兄弟!」がクランクアップ 賛否両論、自治体抗議経て1年半 仲野太賀「万事、円満じゃ」
俳優仲野太賀(33)が主演を務める大河ドラマ「豊臣兄弟!」(日曜午後8時)が、10月30日にクランクアップしたと11月1日、NHKが発表した。兄の秀吉(池松壮亮)とともに、農民から織田信長(小栗旬)に仕え、信長の死後は兄の天下統一を支え「天下一の補佐役」と称される、戦国武将・豊臣秀長の物語。秀長と秀吉が、2人で語らうシーンで、1年半に及んだ全ての撮影が終了した。ラストシーンの撮影には、多くの共演者、スタッフが駆けつけ、にぎやかに祝うなど「兄弟」2人の人望を表すようなクランクアップとなった。
仲野は「大河ドラマの撮影が終わるときには、どんな景色が見えるのだろうと想像していたのですが、幸せすぎて直視できないぐらい、すごい景色でした」と充実感を口にした。そんな胸の内を示すように「豊臣兄弟! 祝 撮影終了」の垂れ幕を挟み、池松と柔和な笑顔で記念撮影に納まった。
その池松とは、最初から最後までずっと一緒だった。2人で先頭に立って撮影現場を盛り上げた。そんな池松への感謝の思いがあふれた。「そして、兄者。出会って長いですが、僕にとって池松壮亮は最高の憧れであり、ずっと背中を追ってここまで来ました。そんな中で、こんな大舞台で兄弟役をできたことは、宿命のようでも必然のようでもあり、奇跡でした。最後まで側にいて、味方でいてくれて、本当にありがとう。この先も僕の前を走っていてください。全力で追いかけます」。ドラマ内外で特別な存在だった。
歴史上、秀吉よりも弟の秀長の方が先に亡くなることは有名な話。ただ、かねて制作統括の松川博敬チーフ・プロデューサーは「最終回に主人公がいない、ほとんど出てこないということはありません」と断言。15分拡大で1時間放送する、12月13日の第48回の最終回が、どのような場面で終わるかは不明だが、秀長亡き後の豊臣家の様子が、延々と続く展開ではないことを約束していた。
浅井長政(中島歩)の介錯(かいしゃく)を、妻の市(宮﨑あおい)が務めたり、その市と柴田勝家(山口馬木也)が天守閣から身を投げて最期を迎えたりと、視聴者からは賛否両論の声が届いた。中川清秀が秀吉を裏切る描写をめぐっては、清秀ゆかりの大阪・茨木市と大分・竹田市が意見書を提出して“抗議”。一方で第27回「本能寺の変」で小栗旬が演じた信長の最期、松下洸平が演じた徳川家康が事実上の主人公となった異色の第34回「最強のライバル」は、物語や松下の演技など絶賛の声が相次いだ。
これほど多くの視聴者の声であふれた大河ドラマは、近年では極めてまれだった。下半期からは毎週、「豊臣兄弟!」の放送が終わってから、ほどなく放送を開始するTBS系「VIVANT」とともに、日本中に日曜夜のドラマ視聴のムーブメントを確立したともいえる。NHKが発表した仲野のコメントの最後は「これで万事、円満じゃ!!」。紆余(うよ)曲折を経たものの、1年間、大河ドラマとしての存在感を発揮し、多くの人の心を揺さぶったのは確かだった。