福地桃子、河瀨直美氏と母娘役「恒星の向こう側」撮影で「初めておなか痛くなった」
福地桃子(29)が31日、東京・キノシネマ新宿で行われた主演映画「恒星の向こう側」(中川龍太郎監督)公開記念舞台あいさつに登壇。
劇中では、家族という近い関係だからこそ、理解し合えず反発する母娘を、映画監督の河瀨直美氏(57)とともに演じ、25年の東京国際映画祭では最優秀女優賞をダブル受賞したが「撮影で、おなかが痛くなる経験も初めてだったし、迫力が、すごかった」と、同氏との撮影を振り返った。
「恒星の向こう側」は、福地が演じる娘・未知が、河瀨氏が演じる母可那子の余命を知り故郷に戻り、寄り添って残された日々を共に過ごそうとするも、拒絶する母と衝突を重ね、長年にわたり積み重なった親子のあつれきと直面する。寛一郎(30)が演じた夫・登志蔵との間に子を宿しながらも、亡き親友への思いに揺れる夫の姿に不安を募らせる未知は、母の残したテープから“もうひとつの愛”を知り、初めて母を理解し、母から託された愛を胸に進んでいく物語。
福地は「直美さんは、その日に起こる偶然や奇跡を逃さないよう、常にアンテナを張っている方。監督も、そこにある力を得て、作品を大切にされている方。それが、私の中ではつながっていた、厳しさの中に、温かさを持っているからこそ、生まれた表現も確実にあった」と撮影時の内心を明かした。その上で「長い間、合わなかった2人の関係について、話し合いをあえてしなかったり、撮影中、距離を取りながらやっていて、関係性のイメージを強く持てて、確信になったのが大きかった。リハーサルをせずに、スタートをかけずに、何となく自然に過ごしている中で始まるチャレンジをしていた。1回目のカットが使われているんですかね?」と、河瀨氏との距離感を計りながらの役作りと撮影を語った。
河瀨氏が持つ迫力だけでなく、作品との深い関わりも撮影中の腹痛につながったようだ。福地は「今回、私はシナハン、脚本ができる段階で参加させてもらったのが、これまでと大きな違い。関わり型があったので、柔軟に動けていたのがあったのかな」と振り返った。
この日、登壇しなかった河瀨氏からは、サプライズで手紙が届いた。
「今、誰を愛していますか、そこに光は生じていますか? 奈良の山に降りていく夕日を、あなたと一緒に見られたことが私の心を温かくしたか、分かっていますか? もう、あなたは、いまだ知らない未知ではなく、未来を知る未知。母にしてくれて、ありがとう、福地桃子さん、女優にしてくれて、ありがとう」
福地は「圧倒的な存在感で、大切な役を演じてくださり、感謝。夕日は多分、寛一郎君も見た。脚本をいただいてイメージしたのとは全然違う、ラストに向かっていく展開が現場であって。漠然と段取りだけを追わず、その場にあるものを映画に刻んでいく、心が合わさって、できたもの。自分の中に刻んでくださったことに感謝」と河瀨氏に重ねて感謝した。
この日は、可那子の過去の秘密の鍵を握る万理を朝倉あき(35)未知が働く児童施設の同僚・中島唯を演じた元乃木坂46久保史緒里(25)も登壇した。
福地と河瀨氏が受賞した、東京国際映画祭最優秀女優賞の日本人俳優の女優賞受賞は、14年「紙の月」(吉田大八監督)の宮沢りえ(53)以来11年ぶり5、6人目。女優賞のダブル受賞は、05年の第18回の、英国のヘレナ・ボナム・カーターと中国のジン・ヤーチンさん以来20年ぶり。福地にとっては個人として初のビッグタイトル獲得だった。