【写真】「竜二」のポスター(C)1983 Momo KANEKO ALL RIGHTS RESERVED.

1983年(昭58)の映画「竜二」(川島透監督)が、4Kスキャン2Kリマスター化された完全版として、23日から東京・テアトル新宿を皮切りに全国順次公開することが2日、決定した。金子正次さんが自ら主演の脚本を書き、映画化を実現させて同年10月29日に公開。大反響を呼ぶも、8日後の同11月6日に、金子さんが胃がん性腹膜炎で33歳の若さで死去。その後、国内の複数の映画賞を受賞した伝説の作品。グレーディング監修に「狂い咲きサンダーロード」「わたしの知らない子どもたち」などの撮影監督・笠松則通氏を招き、1983年の作品を監督した川島透監督(77)がリマスター監督をつとめ、最終確認した。

「竜二」は、スターになることを夢見て脚本を書いた金子さんが、プロ経験ほぼゼロの映画学校時代の友人を巻きこんで、35ミリ撮影で商業映画を作りあげた。友人の松田優作さんは脚本を手に動き、萩原健一さんは楽曲の使用を快諾。プロデューサーだった川島監督は、監督不在となった現場を率いて映画を完成させ、出演した菊地健二さんは金子さんとともに配給会社を探して奔走し、映画への思いだけで突っ走った。

舞台は80年代の東京。新宿・歌舞伎町界隈で知られた三東会の常任幹事・花城竜二は、闇のルーレット場をアパートの一室に開き舎弟2人に仕切らせてヤクザ稼業は順調だったが、ある日、妻まり子と幼い娘のために堅気になると決め、酒屋で働き始める。毎月、給料を妻に渡し、夜は娘と過ごす平凡で質素な毎日に、心の安らぎを覚えた竜二だったが、平穏な暮らしに不安を覚えていく。ヤクザにもカタギにもなりきれない竜二の焦燥と葛藤を中心に描く青春群像映画。

川島透監督は、コメントを発表した。

本作が今なお多くの人に愛され、スクリーンで上映され続けることに対し「『竜二』の呪い。43年間もこんなに振り回されることに腹が立ちます(笑)リマスターというものにはずっと懐疑的な気持ちでした。もっと前よりも良くしようという小賢しくていじましい欲望が湧いてくるんです。今回は最後のリマスターになると思うからやりませんかと言われた時に「やだよ、好きにしてくれよ」という感じがあったんだけれど、「これで20年くらいいくことになりますよ」と脅かされたので(笑)最後の奉公です。当時のカメラマンの川越道彦くんにも相談したんですけども、彼が望むことはたった一つだ、と。“あの当時のまんまにしてください”と。私もそれは大賛成しまして、今回のリマスターのテーマは「何も足さない、何も引かない」ということです。当時のドキドキ、衝撃、荒っぽさ、稚拙さ…そういうものが全部残ったものに仕上げるということ。自分たちが作ってしまった“奇跡”みたいなものを“そのまま”伝えたかった。(初号をスクリーンで見終わった後)“知ってる”映画だったね。「映画と言えば35(サンゴー)だろ」と無謀にも35 mmフィルムで撮影した事が長い時代を経てもこんな形で残す事が出来たのも感慨深い。今だったらiPhoneなんかで撮影したんだろうか?へたっぴな部分はいっぱいあるんだけど、時々ハッとするような良いカットがあったね。自分でいうのもなんだけど。

「竜二」は、柳楽優弥(36)が主演を務めた、公開から43年ぶりのリメーク作「RYUJI 竜二」(水田伸生監督)も30日に公開される。同作は17年末から構想し、20年の新型コロナウイルスの感染拡大による中断・延期なども経て、企画開発に約8年の年月を要した。劇中の時代を85~90年ころ、子供は「竜二」では娘役を金子さんの実の娘が演じたが「RYUJI 竜二」では娘から息子に変え、25年11~12月に撮影した。

情報提供元: 日刊スポーツ_芸能
記事名:「 主演・脚本の金子正次さんが公開直後に死去…伝説の映画「竜二」完全版23日から全国順次公開 」