【写真】自民党の細野豪志衆院議員(2024年9月撮影)

発表直前まで、閣僚人事の顔ぶれの全体像がほとんどつかめなかった高市早苗首相による一連の内閣改造が、完了した。「実務重視」の高市首相なら堅実な顔ぶれになると予想されつつも、腰を据えて行う初の改造だけに、「大サプライズ」もあるんじゃないかと臆測も飛び交った。ふたをあけてみれば、10人が交代となったものの「大サプライズ」などなく、内閣改造を行うに当たり、自民党衆院議員全員に配布された、「希望ポスト」に関するアンケートの記載内容を、首相が「つぶさに読み込んだ」上での人選。会見では人選に関し「端的に申し上げれば、アンケートで提案された政策や積極性と情熱を見極め、実行力重視で人選した」と言及するなど、珍しい「アンケート重視改造」となった。

「ポスト高市」有力候補の林芳正氏が閣外に去ったことで、高市首相が「無風再選」を目指す来年の総裁選に向けて、波乱要素を残した。取材では、「林さんがいなくなったことが最大のサプライズ」との声も聴いたが、個人的に「隠れたサプライズ」もあったと感じた。それは、旧民主党幹出身ながら2021年に自民党に入党した細野豪志復興相(55)の「復権入閣」だ。

旧民主党から自民党に移り、大臣になったケースは直近では、松本剛明元総務相(今年7月に逝去)がいる。松本さんも旧民主党政権で外相を務め、2015年の民主離党→17年の自民入党をへて、2022年、岸田内閣で総務相に就任。入党から大臣になるまで5年の時が過ぎていたが、細野氏も同様の年月を要した。

ただ、その自民党入りの際には、かなり混乱したことをよく記憶している。

「移籍」は安全保障政策の違いなどが理由だった。細野氏は旧民主党から民進党をへて、小池百合子都知事が2017年衆院選直前に結党した希望の党に入ったが、細野氏は議席を得たものの党は惨敗。その後無所属となり、2019年1月、当時まだ派閥が存在していた自民党二階派の総会で、無所属のまま同派の「特別会員」になることが了承された。それまで20年近く自民党と対峙(たいじ)し、「政権交代可能な二大政党制」を目指していた立場。当然、自民党内では強い反発の声が出たが、当時幹事長だった二階敏博氏は「来る者は拒まず」の観点から、受け入れる考えを示した。

細野氏はその際、取材に「厳しい批判はあると思うが、ゼロから勉強し出直したい」「政策や理念、やりたいことは変えずに、それを行う手段として『2大政党』ではない選択」などと答えた。現実的な変わり身の早さをみせたのだ。

自民党内で反発が強かったのは、細野氏の地元の静岡5区に岸田派所属の元職(当時)がいたこともあった。その2年後の選挙で公認を得た元職と「直接対決」となるのだが、結果は細野氏の圧勝。相手は比例復活したが、「最初は『落下傘候補』だったが、とにかく選挙にめっぽう強い」(旧民主党関係者)のが細野氏。この選挙後の2021年11月、自民党への入党が認められた。それでも、自民党議員2人が同じ選挙区で当選を目指す珍妙な構図に。その後、ライバルが衆院選不出馬となったことでようやく足場は固まったが、どことなく「よそ者感」はぬぐえなかった。

別の野党関係者は、「優秀な人だが、民主党政権末期の代表選、政権を失った直後の代表選で『待望論』が出たが、最終的に出なかった。がっかりした人は多かった」と振り返る。その後、2015年の民主党代表選に立候補した際にグループインタビューをしたことがあるが、代表選に出なかったのは「準備ができていなかった」ことと、当時夫人が身ごもっていた赤ちゃんの調子が思わしくなかったからと打ち明けてくれた。

この代表選では岡田克也氏に敗れ、結局野党の代表に就任することはなかった。インタビューでは「後悔しても時が過ぎるだけ。そこからどうするか考えながら、生きてきた」と信条も語っていたが、野党トップに就いていたら自民党入り、ましてや入閣はなかったはず。今回の細野氏の入閣は、紆余(うよ)曲折をへた末の「復活」とも見え、よくも悪くも感慨深い思いで見る関係者は少なくなかった。

大学生時代、阪神・淡路大震災でのボランティア活動が、政治家を目指す原点だと語っていた細野氏は、民主党政権で、東日本大震災で原発事故担当の大臣も務めた。入閣にあたり「非常に強い関わりがある。(今回は)私が希望した役割なので、しっかり完遂しなければならない」と述べ、「15年ぶりに、こういう責任ある立場に立つことになり、ある種の宿命かなと思っています」とも語った。

改造内閣の初閣議後、官邸で行われた写真撮影では、高市首相の隣というベストポジション。最前列は通常当選回数の多い議員らが並ぶが、細野氏は初当選が28歳で、すでに当選10回のベテランだ。15年前とは状況が異なり、今回は経験と意欲を買われ、結果を求める高市首相に請われての起用。「復活」の上には、相当の重責が重なっている。【中山知子】(ニッカンスポーツ・コム/社会コラム「取材備忘録」)

情報提供元: 日刊スポーツ_芸能
記事名:「 細野豪志氏“復権入閣”が内閣改造の隠れたサプライズ? 批判もあった自民入党からはや5年