フジテレビ日枝久元相談役、騒動以来1年9カ月ぶり公の場 世界文化賞発表会見
元タレント中居正広氏(54)をめぐる問題で昨年3月27日にフジテレビ取締役相談役を退任した、日本美術協会会長の日枝久氏(88)が8日、東京・内幸町の日本プレスセンターホールで行われた「第37回 高松宮殿下記念世界文化賞」の発表会見に出席した。日枝氏が公の場に出席するのは、一昨年暮れに中居氏の問題が発覚してから初めてで、1年9カ月ぶり。
日枝氏は昨年1月に自宅で転倒して腰椎(ようつい)圧迫骨折。杖をつきながら「足が痛いよ。腰をやっちゃってね」と言いながら、会見の30分ほど前に会場入りした。
日枝氏は「世界文化賞は平成元年(1989年)に第1回の授与式を行い、今回で37回目。世界は今、混迷と戦乱の時であって、芸術の力はこれまで以上に重要になっています。芸術の力が世界の人々を元気づけ、新たな歩みを生み出す力になればと信じております」と話した。
06年の絵画部門受賞者で、先月14日に多臓器不全で亡くなった草間彌生さんについては「本当に我々にとっては誇りでした。ニューヨークで活躍して、あっという間に世界に広がったという、相当の才能を持っていました。なんか残念っていうか、惜しいなっていう感じがします」と話した。
そして「戦乱があっても、芸術文化というのは世界中に広がって、人と人を結びつけていく。高松宮殿下記念ということで、ここまで、これだけ素晴らしい芸術家が選ばれたなと思って、申し訳ありませんがワクワクしながら、非常にうれしく思います」。
昨7月から新たな体制で再スタートを切ったフジテレビに対しては「フジテレビだけじゃなく、いろんな関係者が一緒になって(世界文化賞を)作ってきたわけですから、みんなで、日本が作った素晴らしい賞だということで、成長させてもらいたいなという風に思います。今日は歩けるか、ここに座れるかどうかって言ってて、いろいろな知った方とをお会いして、ここに座って発表できるということ自体が、私には本当に喜びでございます。もちろん芸術家の皆さんもお喜びと思いますけれども、それを顕彰できたということ、戦乱と混乱の世の中で、世界の文化芸術で、人と人、国と国とを結びつけられる仕事を我々ができるっていうことは本当に幸せだと思います。フジテレビの皆さんもその一助を担っているということを考えていただきたいなと思います」と話した。
ロシアの軍事侵攻で、ウクライナの国立バレエ団ではロシアの作曲家の音楽を公の場では演奏できない。クラシックバレエの名作「白鳥の湖」「眠れる森の美女」、ロシアの作曲家チャイコフスキーが作ったバレエの名作を上演できなくなっている。日枝氏は「バレエ団が活動できないっていうのはね、本当に全世界が悲しいことだと思いますね。そういう点で、日本のバレエ関係者がなんか支援するものがあるのかどうか、これは今後の問題だと思いますけれども、バレエ団との交流の支えになるようなニュースも出てきておりますので、なんとか日本でもそういうことができればいいなというふうに私は思っています」と話した。
昨年、ほとんどの役職を辞した中で、日本美術協会会長と彫刻の森芸術文化財団理事長だけは続投している。「日本が文化芸術でヨーロッパの皆さんと交流を深めるべきだということでこの世界文化賞がスタートできた。本当に純粋な意味でできた。皆さんのご協力でここまで成長してきて、我々にとって、日本にとって、あるいはひょっとして世界にとっての宝物の賞だと私は思っています。これはできるだけ一生懸命やりたいと思います」と話した。
会見後、現在のフジテレビ経営陣との関わりについては「会うことはない。プライベートで関わりがある人は別ですが」と話した。
受賞は絵画部門はジェニー・ホルツァー氏、彫刻部門はアンディ・ゴールズワージー氏、建築部門はダニエル・リベスキンド氏、演劇・映像部門はケイト・ブランシュエット氏、音楽部門はステーファン・フォルシュベリ氏、若手芸術家奨励制度はラ・スルス・ガルースト協会。