【こんな人】品川徹さん、教授からジジイヤクザまで…少ない言葉で観客の笑い取った機知
2003年(平15)のフジテレビ系ドラマ「白い巨塔」や、北野武監督(79)の15年の映画「龍三と七人の子分たち」などに出演した、俳優の品川徹さんが、8月29日に亡くなった。90歳だった。
所属事務所のノックアウトが7日、公式サイトで発表。リンパ腫のため療養中だったことも明かされた。
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品川さんが登壇した映画の舞台あいさつを何度か、取材した。登壇から降壇まで視線は鋭く、表情も険しく、フォトセッションの際も、そこまで笑みを振りまくこともせず、自身に話を振られた際だけ、口を開く印象があった。いつも背筋を伸ばし、実年齢を聞くと驚くほど、しゃんとした立ち姿だった。
語り口も落ち着き払ったものだったが、その中で、インパクトのある発言を時折、口にして客席を沸かせた。15年4月14日に都内で開かれた「龍三と七人の子分たち」の完成披露試写会では、北野監督が主演の藤竜也(85)近藤正臣(84)中尾彬さんら、引退したヤクザの集団「一龍会」を演じた平均年齢72・6歳の俳優8人を見て「ザッと並ぶと戦没者慰霊会のような。今日が黙とうから始まるのが一番怖かった」と笑わせた。
品川さんは、ヤクザの1人、早撃ちのマックを演じた。あいさつを促されると「いらしてくださいまして、ありがとうございます」と観客に感謝した後、こう口にした。
「12年前になりますかね。私はね、こんなセリフ、言ったんですよね。『医者の本分を忘れておる』」
ヤクザの物語で、医者のセリフを口にしたところで一瞬、沈黙すると、客席から笑いが起きた。すると、こう続けた。
「『白い巨塔』というドラマでした。私のせりふは、こんなせりふだったんですけど、固いというか真面目、というか。大河内教授という役だったんですけども」
「白い巨塔」で演じた浪速大学医学部病理学科科長・大河内清作教授の名を挙げた上で「今回は、180度、転換して、まぁ…何と言ったらあの役とは想像もつかない役を仰せつかりました。楽しかったです」と言い、口元に笑みを浮かべた。60年代から舞台を軸に活動を開始し、多彩な役どころを演じてきた一端をうかがわせた。
その上で「1番、安心したのは、ジジイ集団なので、いつ倒れるんじゃないかと思って、ヒヤヒヤしていたと思うんですけど、ここまで皆、無事にきました。ありがとうございました、本当に」と口にすると、会場には、また笑いが起きた。他の登壇者と比較すると、決して言葉の数は多くないが、出演した作品をリスペクトする思いから、分かりやすい言葉で作品をひもとき、観客に伝える。そこにウィットを効かせるから、客席は沸く。そんな品川さんの言葉を、記者席で聞くのが楽しみだった。【村上幸将】