閉館前に発掘された「東映会館落成記念映画」に収められた、こけら落とし時にあいさつする東映スターたち(提供・東映)

1960年(昭35)9月20日に東京・銀座に開館した映画館「丸の内TOEI」が27日、本社ビル・東映会館の再開発と本社移転を受けて閉館した。

グランドフィナーレには、上映された1980年の映画「動乱」(森谷司郎監督)でヒロインを務めた、吉永小百合(80)がサプライズで登壇。同作をはじめ20本の映画の舞台あいさつに立った日々を振り返り「本当に、すてきな、すてきな劇場で、なくなってしまうことは…つらいです」と涙声になった。

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閉館を前に、開館前日の65年9月19日に行われたこけら落としと、開館当日同20日のもようを収録した、10分間の「東映会館落成記念映画」が発掘された。「さよなら丸の内TOEI」に先だって3月28日から開催された「昭和100年映画祭」に向けて、過去の資料を探している中で見つかり、「さよなら丸の内TOEI」期間中に限定で幕あいなどに上映していた。

こけら落としの際は、丸の内東映(現丸の内TOEI1)のステージに、北大路欣也の父・市川右太衛門さんをはじめ、片岡千恵蔵さん、中村(萬屋)錦之助さん、大川橋蔵さん、東千代之介さん、大友柳太朗さん、月形龍之介さんら、東映時代劇スターが勢ぞろいし、口上や舞を披露。扇子を手に、八千代獅子を舞う美空ひばりさんの姿も映っている。壇上で音頭を取った右太衛門さんは「東映も躍進に躍進を重ねまして丸の内の繁華街に立派な東映会館ができた」と語っている。丸の内東映パラス(現丸の内TOEI2)で開かれた祝賀パーティーの映像には、ドリンクを飲む高倉健さんや歓談するひばりさんらの姿も映っている。

日本映画、芸能史における貴重な資料だが、関係者によると今後、一般に公開するかは未定だという。

情報提供元: 日刊スポーツ_芸能
記事名:「 丸の内TOEI閉館を前に「東映会館落成記念映画」発掘 こけら落としに時代劇スターが勢ぞろい