女形モデルの映画「国宝」の大ヒットで歌舞伎さらに注目 坂東玉三郎らも鑑賞 感想にも期待
歌舞伎界を舞台にした映画「国宝」の大ヒットで、歌舞伎にも注目が集まっています。7月の歌舞伎座を昼の部、夜の部とも見てきましたが、いつも以上に観客が入っているように思いました。
「国宝」は歌舞伎の家の出身ではない女形が努力を重ねて、人間国宝になるまでを描いています。先日、6人の人間国宝の発表がありましたが、今回は歌舞伎界から新たに認定された人はいませんでした。現在、歌舞伎の人間国宝は、立役が7代目尾上菊五郎、片岡仁左衛門、中村梅玉、女形が坂東玉三郎、そして脇役が中村東蔵、中村歌六の計6人です。人間国宝になると、年200万円の助成金が国から支給されます。
「国宝」の主人公喜久雄が歌舞伎の家の出身ではなく、女形として人間国宝となったことから、同じような経歴を持つ坂東玉三郎がモデルではないかと言われているようですが、経歴が似ているだけで、喜久雄は原作者の吉田修一氏が創作したオリジナルのキャラクターでしょう。
市川團十郎、片岡愛之助ら多くの歌舞伎俳優も「国宝」を鑑賞していますが、実は、玉三郎も見ています。今月17、18日に上演された舞台「『越路吹雪物語』&落語芝居『牡丹燈籠』」で玉三郎と共演した春風亭小朝は、その感想を聞いたそうです。小朝のブログでは「僕は玉様の指摘を聞きながら、へぇ~ッ、そうなんですか、なるほど、確かに、知りませんでした、そうですよねぇ、を繰り返しておりました」と明かし、とても勉強になったそうです。玉三郎がどんな感想を話したのか、ちょっと気になるところです。玉三郎は公式サイトで毎月、自ら書いた「コメント」を発表しています。
8月のコメントで、「国宝」について触れるのか。更新が楽しみです。【林尚之】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「舞台雑話」)