田中あいみの新曲「NAZO」が好調 自身の謎は師匠細川たかしの髪形!?手入れの仕方明かす
歌手田中あいみ(24)が6枚目のシングル「NAZO」を30日に発売する。木梨憲武(63)がプロデュースを担当し、所ジョージ(70)が作詞作曲を手がけた軽快なポップス。6月14日に先行配信がスタートすると大きな話題を呼び、ミュージックビデオ(MV)の再生回数は100万回を突破した。「この曲で紅白歌合戦に初出場したい」と力強く宣言した。【取材・構成=松本久】
◇ ◇ ◇
今年1月。田中は今後の活動について模索していた。「若き歌姫」として実力は折り紙付きながら、さらに前に進むためにはどうすればいいのか。その“解”を求め、所や木梨が音楽仲間とセッションをするスタジオに通ってのレッスンが始まった。
「週に2回で1回5、6時間です。ジョージさんが作詞作曲をした楽曲をレッスン曲のようにしてどんどん歌って自分を鍛えていきました。アニソンチックな曲やボサノバ、バラード、歌謡曲やポップスなど多くのジャンルの曲を3カ月で30曲ぐらいは歌いました」
トレーニングを重ねながら、どんな曲が田中に最もふさわしいのか、25年の勝負曲にどれを選ぶのかを検討。木梨の「これでいこうよ」のひと声で決まったのが「NAZO」だった。
だが、現在の形になるまでは何度もブラッシュアップを繰り返した。「100回以上は歌い直しをしているんです。最初はドラムも入っていない簡易的な曲。それが『これを足そう。あれも足そう』と楽器がどんどん増えていった。次は『じゃ、コーラスはこうしよう』とどんどん仕上がっていきました。その度に歌い直しをしているから、私の音楽的なハーモニーのクオリティーもだんだん上がっていった。最終的には120%ぐらいの勢いでレコーディング完成!みたいな状態でした」と納得の表情で説明する。
さまざまなジャンルの楽曲を歌うことで、これまで苦手だったリズム感が身に着く効果もあった。「実はリズム感が全くなかったんですよ。それが少しは取れるようになりました。リズムを取りながら、メロディーに言葉を乗せることができて、高音も響かせることができるようになった。これまでにない扉を開いて、違う引き出しもできた。2025年の田中はひと味違います」と笑顔で話す。
所は「いいね、いいね~」と田中をうまく乗せ、木梨は「ここはこうしたほうがいい」と的確なアドバイスを送る。「ジョージさんはほめて人を伸ばすタイプで、ノリさんはフィーリングを大事にしていて、私の気持ちを引き出してくれる」。この2人の強力なバックアップもあって、“新たな田中あいみ”が生まれたという。
所と木梨は新曲にコーラス参加もしている。
「これまで基本的には1人でやってきたから最初は慣れなくて…。おふたりとも全力で入ってくるから最初は正直邪魔でした(笑い)。でも、最終的には私単品の声よりも、男性のちょっと分厚い声が入ったことで曲調がすごく映えた気がします」と感謝の言葉を続けた。
曲のプロモーションとして東京・新宿の大型ビジョン「クロス新宿ビジョン」などでMVを7月にから流した。「先日見に行きました。外国人の観光ツアーの中に組み込まれているみたいで、ガイドさんがビジョンを指さしながら説明をしていたんです。私もよく利用する新宿駅なので、信号待ちをする度にこのビジョンを見ちゃう。そこに自分が出ていると思うとすごいですよね」。歌手仲間からも「見たよ」「映っていたね」と連絡があったという。
東京メトロとのタイアップで全線全車両の中つり広告も6月下旬から掲載した。「これには私もビックリでした。京都に住む両親がすごく喜んでいて『すごいね。見に行こうかな』って言っています」。友人からの反響も大きく「すっごくうれしいです」と声を弾ませた。
年明けから自炊も始めた。「玄米をたいて食べています。そしてせいろ蒸し。ダイエットにも良いし、腸に優しい。得意料理はブリの照り焼きです。やってみると、自分って意外と料理のセンスがあるなと思っています。すごく体調もいいです」。
今年も半分が過ぎた。「120%の出来栄え」と胸を張る自信作「NAZO」を引っ提げ、自炊で体調を整えて狙うのは年末のNHK紅白歌合戦初出場だ。昨年、同じ“木梨ファミリー”の新浜レオン(29)が初出場したのを目の当たりにして「次は私が!」との思いを強く持った。
「紅白出場がずっと夢の1つで、そこを目指してデビューからずっとやってきました。今回、『NAZO』というすてきな楽曲をいただいたので、もっともっと頑張らないといけないと思っています。NHKで行う初出場歌手の発表会見で、カーテンがバサッと落ちた時にひな壇に自分がいる姿を夢見ています。師匠(細川たかし)から『チャンスを逃がすな』とよく言われます。師匠の教えを守って、このチャンスを逃さないように必死に努力をします」
田中について、所は「器用で歌がうまいし、覚えも早い。どんな曲でも『歌いたいです』と食い付いてくる。歌が好きなんだという熱量が伝わってくるんだよ」と褒めちぎる。初の紅白出場へ向け、プロモーションへの協力を惜しまない覚悟だ。「テレビ番組に自分も一緒に出てもいい。紅白のステージでともに歌いたい」。これには田中も「本当にありがたい。絶対に夢をかなえたい」と力を込めた。
21年11月に「孤独の歌姫」でデビューして3年9カ月。今月26日が25歳の誕生日だ。「ここまであっという間で超特急のよう。演歌界を自分の力で変えてやろうと思って歌手になって、令和の時代になり、少しずつ演歌界も変わってきたと思うんです。これからも演歌を知らない若い人に『演歌の魅力』を伝えて、そして『田中あいみ』をもっと示していきたい」。
デビュー記者会見では、ハーレーダビッドソンに乗って登場し、取材陣の度肝を抜いた。演歌歌手定番の着物やドレスは一切着ないというポリシーを貫き、ポニーテールと派手なネイルの外見は異色だ。だが、歌への真摯(しんし)な姿勢と歌唱力はまさに正統派。25年の“ひと味違う”田中の勝負曲「NAZO」は30日に発売される。
◆田中(たなか)あいみ 2000年(平12)7月26日生まれ、京都市出身。京都先端科学大卒。19年に日本クラウン新人オーディションでグランプリ獲得。21年11月に「孤独の歌姫」でデビュー。22年に「大阪ロンリネス」で日本レコード大賞最優秀新人賞を受賞。細川たかし音楽事務所に所属。好きな言葉は「Let it be」。目標はスーパースターになること。155センチ。血液型B。
○…曲タイトルにちなみ、田中にとって「NAZO」(謎)に思うことは何かを聞いた。しばらく考えた後で、口を出たのが「師匠・細川たかしの髪形」だった。独特のフォルムゆえにカツラ疑惑も根強い。「天然なんですよ~。でも、なんであそこにたどり着いたのか…。毎回会うたびに思うんです」。細川は毎日、口ひげを剃るような感覚で髪の生え際も手入れをしているという。「染めるのも面倒で、剃った方が楽だって言うけど、でも何であれになるのか。謎です(笑い)」。