グループ名やバンド名は造語だけでなくいろんな意味が 由来知ると音楽の聴き方が違ってくるかも
<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>
アリスのドラマー矢沢透(76)が中心となった3人組「SORISE(ソライズ)」のコンサートを取材した。他の2人は、ソロ歌手の滝ともはる(70)と元フォークグループ・シグナルの住出勝則(69)。初アルバム「SORISE 1」の発売記念コンサートで、百戦錬磨の3人の魅力が全開だった。
「SORISE」というグループ名は、「空(そら)」と「RISE(昇る)」の造語。「空へ昇る」から、いくつになっても「高みを目指す」という意味が込められている。
ちなみにロックグループ、ザ・ビートルズも造語のグループ名である。カブトムシと思われがちだが、カブトムシのスペル(複数形)は「Beetles」。4人組のビートルズは「Beatles」。
実はカブトムシの「Beetle」と、音楽の拍子を意味する「Beat(ビート)」を掛け合わした造語である。
ジョン・レノンらメンバーが敬愛していた米シンガー・ソングライター、バディ・ホリーが「バディ・ホリー&ザ・クリケッツ」というバンドを組んでいた。クリケット(Cricket)には、昆虫のコオロギとスポーツのクリケットの2つの意味があった。
ジョンらはそれにあやかって、「カブトムシ」と「拍子」の2つの意味を持つ造語のビートルズという名前を考案したという。
日本の2人組スキマスイッチというユニット名も、メンバーの常田真太郎が部屋のふすまの「隙間」と、電気の「スイッチ」を見て決めた造語である。
グループ名やバンド名には、造語だけでなく、いろんな意味がある。
矢沢のアリスは、デビュー前のアメリカツアーで、谷村新司がレストラン「Alice」のロゴを気に入って命名した。
常田大希を中心としたロックバンド、King Gnu(キングヌー)の名前は、アフリカ大陸に住むウシ科の動物ヌーの生態に由来する。ヌーは春から少しずつ合流して、最後は大きな群れになるという。自分たちも、老若男女が集まる、そんなバンドになりたいと命名された。
3人組バンドのMrs.GREEN APPLEは、「食べ物の名前が入っていると覚えてもらいやすいのでは」と考え、GREEN APPLE(青リンゴ)が浮かんだ。ただ爽やか過ぎるので、もう少し大人の雰囲気を出したいと知恵を絞って、「Mrs.(ミセス=既婚女性の敬称)」をつけたという。
世界的に活躍するYOASOBIは、作曲家でキーボードのAyaseと、ボーカルikuraの音楽ユニット。Ayaseは元々、ボーカロイドプロデューサーの顔を持ち、ikuraはシンガー・ソングライターである。それを昼の姿とするならば、音楽ユニットは夜の姿として遊び心満載のチャレンジをしたいという思いで、YOASOBIと命名した。
バンド名などの由来を知ると、音楽の聴き方が違ってくるかもしれない。(敬称略)【笹森文彦】