ジェームズ・キャメロン監督(2022年12月撮影)

米映画「タイタニック」(1997年)や「アバター」シリーズなどで知られるジェームズ・キャメロン監督(70)が、原爆の父と呼ばれた理論物理学者ロバート・オッペンハイマーを描いたクリストファー・ノーラン監督の映画「オッペンハイマー」(2023年)が広島と長崎の原爆投下後の被災地の状況を描いていないとして、「道徳的な逃げ道」と非難した。

「オッペンハイマー」は、作品賞や監督賞などアカデミー賞7部門を獲得している。しかし、原爆投下による惨状を直接的に描写しなかったことが賛否を呼んだ。

キャメロン監督は、「アバター」シリーズを終えた後、広島と長崎で2度に渡って被爆した二重被爆者の山口彊(つとむ)さんを題材にした映画「ゴースト・オブ・ヒロシマ」を制作することが発表されている。2015年に出版されたチャールズ・ペレグリーノ氏の著書「ラスト・トレイン・フロム・ヒロシマ」と新著「ゴースト・オブ・ヒロシマ」を元にした作品で、キャメロン監督は「長年取り組みたいと思ってきたテーマ」だと述べている。

キャメロン監督は、デッドラインのインタビューで「オッペンハイマー」について「主人公の視点に留めるという選択は誤りであり、原爆投下が現実世界に及ぼした影響の重大さを回避している」とコメント。ノーラン監督のことは好きだとした上で、原爆投下による惨状を描かなかったことを批判した。

「劇中で主人公オッペンハイマーが聴衆の中で焼け焦げた遺体を見る短いシーンが一度だけあり、彼がそれに深く心を動かされた様子が描かれている。しかし、私はそれが主題を避けているように感じた」と話し、その決定がスタジオによるものなのか、ノーラン監督自身の判断なのかは分からないとした上で、「私はそこに真正面から向き合いたいと思っている」と述べた。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)

情報提供元: 日刊スポーツ_芸能
記事名:「 ジェームズ・キャメロン監督、「オッペンハイマー」原爆投下後の被災地の状況を描いてないと非難