浦井健治(2025年5月撮影)

韓国発のミュージカル「メイビー、ハッピーエンディング」が今年のトニー賞で、作品賞、演出賞、脚本賞、音楽賞など6部門で受賞しました。

このところ、韓国ミュージカルは良質な作品が多く、日本でもブロードウェーやロンドンで生まれた作品とともに韓国発のミュージカルがよく上演されるようになりました。 この「メイビー」も2016年に韓国で初演され、コロナ禍の渦中にあった20年8月に浦井健治主演でシアタークリエで上演されました。近未来を舞台に、主人公は人間のために作られたヘルパーロボットたち。本来はプログラミングされていない感情が芽生え、「愛」を育む2人の「ロボット」の姿が愛おしく、切なくなる佳品でした。ブロードウェーでは大きな劇場での上演となるため、舞台セットを変え、ナンバーを増やしたほか、演出も日本で「ガイズ&ドールズ」を手掛けたマイケル・アーデンが担当するなどのテコ入れを行い、24年11月に開幕。来年1月までの延長が決まるほどの人気でしたが、今回のトニー賞6部門受賞で、快進撃は続くでしょう。

20年ほど前まではミュージカルでは日本が先行していました。06年10月に劇団四季が韓国ソウルで韓国人キャストによる「ライオンキング」をロングランした時に取材した経験があります。当時は「文化侵略」という反発の声もあったようですが、この公演にかかわった韓国人キャストやスタッフが、その後の韓国ミュージカルの活性化の大きな力になったことは否定できないでしょう。韓国政府も文化政策の一環として映画や音楽、ミュージカルなどに資金面でバクアップするようになり、その成果が、K-POPの世界席巻や、映画「パラサイト 半地下の家族」の米アカデミー賞作品賞受賞、そして今回につながっていると思います。

日本でも良質のオリジナルミュージカルが作られ、海外に「輸出」される作品もいくつか出てきています。アジア初の快挙は、韓国に先行されましたが、日本発の作品がトニー賞授賞式で読み上げられる日がいつか来る、そんな希望も持っています。【林尚之】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「舞台雑話」)

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情報提供元: 日刊スポーツ_芸能
記事名:「 韓国発ミュージカル「メイビー、ハッピーエンディング」トニー賞6部門受賞 日本発の作品もいつか