映画「ルノワール」公開記念舞台あいさつに登壇した、左から早川千絵監督、石田ひかり、鈴木唯、リリー・フランキー、河合優実(撮影・村上幸将)

5月のカンヌ映画祭(フランス)コンペティション部門に出品された映画「ルノワール」(早川千絵監督)公開記念舞台あいさつが21日、東京・新宿ピカデリーで行われた。12歳で主演の鈴木唯を前に、劇中で父を演じた49歳年上のリリー・フランキー(61)は、劇中と舞台裏そのままに、自分を見つめて語りかけてくる鈴木を前に「50歳違いで、よく話が合うなと」と驚いた。

「ルノワール」は、日本がバブル経済真っただ中だった80年代後半の夏が舞台。鈴木が演じた、闘病中の父と仕事に追われる母と暮らす11歳の少女・沖田フキは、マイペースで想像力豊かで、空想にふけりながら、それぞれに事情を抱えた大人たちと触れ合う。子供特有の感情を細やかに描写するとともに、フキが関わる大人たちの人生の、ままならなさや人間関係の哀感を温かなまなざしとユーモアを持って描き出す。リリーは劇中で、闘病中で入退院を繰り返す父圭司を演じた。

俳優陣に、子供の頃の記憶について質問が出た。リリーは「舞台裏でも、フキ(鈴木)に聞かれたんだけど…。酔っぱらったおやじに3歳の時に無理やり、焼き鳥を食わされたり、マネキン工場が焼けた時、怖かった」などと振り返った。そして「母親には小学生の時に、今まで付き合った人にも、幼稚と言われた。俺も、いつか大人になったら車の免許取って、結婚します」と自嘲気味に笑いつつ「いまだに消しゴム、まるめてボールにしている」などと、少年の遊び心を、いまだ持ち続けていることをにじませた。

鈴木は、サプライズで共演陣に向けて読んだ感謝の手紙の中で、リリーを「初めて名前を聞いた時は、海外の方かと思ったら、すてきな日本のおじさまでした」と評し、場内を笑わせた。

この日は母詩子を演じた石田ひかり(53)、同じマンションの住民女性の北久里子を演じた河合優実(24)も登壇した。

◆「ルノワール」1980年代後半のある夏。11歳の沖田フキ(鈴木唯)は、両親と3人で郊外の家に暮らしている。時には大人たちを戸惑わせるほどの豊かな感受性を持ち、得意の想像力を膨らませながら自由気ままに過ごしていた。時々、垣間見る大人の世界は刺激的だけどなんだか滑稽で、フキは楽しくて仕方ない。だが、闘病中の父圭司(リリー・フランキー)と仕事に追われる母詩子(石田ひかり)との間には、いつしか大きな溝が生まれていき、フキの日常もいや応なしに揺らいでいく。フキが出会う大人たちを中島歩(36)、「PLAN 75」に引き続き河合優実(24)、さらに坂東龍汰(27)と、各年代の実力派俳優が演じた。日本、フランス、シンガポール、フィリピン、インドネシア、カタールの国際共同製作で、24年7~9月に国内、同11月には海外で撮影が行われた。

情報提供元: 日刊スポーツ_芸能
記事名:「 61歳リリー・フランキー、12歳鈴木唯に驚く「50歳違いで、よく話が合うなと」