関係者に誘導され、彦八まつりに姿を見せた明石家さんま(撮影・阪口孝志)

<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>

上方落語の文化祭&ファン感謝デー「第32回彦八まつり」が5月17、18の両日、大阪市の生国魂神社で行われた。タレント明石家さんま(69)が04年以来21年ぶりに参加し、大いに盛り上がった。

さんまは18日のトークイベント「さんまのさんま」に出演し、笑福亭鶴瓶、上方落語協会会長の笑福亭仁智、同期の露の都と爆笑トークを展開。次の仕事を理由に早引きしようとする鶴瓶を1時間引き留め、ファンを喜ばせた。チケットは即完売だった。

「上方落語の始祖」米沢彦八の功績をたたえて行われている彦八まつりは、上方落語の復興に尽力した「上方四天王」の1人、6代目笑福亭松鶴さんの命日9月5日にちなんで、9月の第1週に行われてきたが、暑さや台風に見舞われることが多く、昨年から5月開催に移行。今年は桂吉弥が実行委員長を務めた。

吉弥が開催の目玉に、と目を付けたのが鶴瓶だった。1月に出演を打診したところ、快諾どころか「さんまにも言うたろか?」。その場で電話し、「日曜やったら行けるで。なんでもしたるで」とさんまの電撃参戦を引き出した。

さんまはパーソナリティーを務めるMBSラジオ「ヤングタウン土曜日」で、鶴瓶から電話があり、「落語会には行かせていただく。共演させていただくのも楽しみにしている」と出演を発表。「良かれと思って」のことだったが、3月の開催記者会見でさんまの出演を大々的に発表したかった吉弥は「絶妙なタイミングで世間へのニュースになった」と笑っていた。

ただ、吉弥はさんまの行動に感謝している。師匠桂吉朝さんとさんまが同期で「吉朝くんの弟子の吉弥が実行委員やし、盛り上げたらなアカン」と話していたことも聞き、「そんなんも感じてくれてるんかな」とうれしそうにしていた。

さんまのおとこ気や後輩の面倒見の良さはよく知られている。

笑福亭松之助さんに弟子入りし、笑福亭さんまとして活動を始めたが、内弟子修行中に脱走。松之助さんは戻ってきた弟子を叱ることなく、明石家さんまとして再活動するよう送り出してくれた。

そうした経験があるからこそ、上方落語協会員ではないにもかかわらず、鶴瓶や吉弥から頼まれると快く応じ、忙しいスケジュールをやりくりして参加したのだろう。

21年前に出演した際は、笑福亭一門の「五枚笹」の紋が入った着物で登場。今回のトークイベントで着ることはなかったが、彦八まつりのためにわざわざ用意した服で参加したところに思いがにじむ。Tシャツ姿の鶴瓶や、自身の一門ブースでたこ焼きを焼き、エプロン姿で出演した仁智と比較して、笑いに変えてしまうところは、さすがお笑い怪獣といったところだが。

イベントでファンを盛り上げるのはもちろんのこと、桂小文枝のYouTube撮影に応じたり、「ヤングタウン」で後日談をするなど舞台裏でも大サービス。松之助さんの息子でさんまにとっては弟弟子になる明石家のんきとともに、楽屋で一緒になった森乃石松は「他にもいろんな人に会っているのに覚えていてくれて、名前を一瞬でも出してくれたのはうれしい」と、さんまがラジオで自身の名前を出してくれたことを感謝していた。

さんまが次に彦八まつりに参加することがあるかどうかは分からない。それでも、さんまの思いはファンや落語家仲間に存分に伝わっていたように感じた。【阪口孝志】

情報提供元: 日刊スポーツ_芸能
記事名:「 明石家さんま、21年ぶり彦八まつり参加「盛り上げたらなアカン」電撃参戦で見せたおとこ気