黒崎煌代「すごくドキドキ」初主演映画「見はらし世代」カンヌ映画祭監督週間で世界初上映
黒崎煌代(くろさき・こうだい=22)の初主演映画「見はらし世代」(団塚唯我監督、今秋公開)が16日、フランスで開催中の世界3大映画祭の1つ、第78回カンヌ映画祭の監督週間で公式上映された。
世界初上映となるワールドプレミア上映は、800人以上の観客で満席となり、上映後には約7分間のスタンディングオベーションが起きた。同映画祭に初参加の黒崎は「本当に感動しました。これから初めて見る観客の皆さんの真ん中で、一緒に完成した映画を初めて見ました。すごくドキドキしていたのですが、たまに笑いが起きたりもして、笑い声が起きる度に安心して監督の膝をついたりしました」と喜んだ。
監督週間はフランス監督協会が主催し、カンヌ映画祭に併設して開催される独立部門。これまで大島渚、北野武、黒沢清、三池崇史、諏訪敦彦、河瀬直美、橋口亮輔、西川美和の各監督ら、日本を代表する監督の作品が出品、上映されてきた。26歳の団塚唯我監督は、日本人最年少での監督作出品となった。
団塚監督は、上映にあたり「こんにちは。『見はらし世代』の監督の団塚唯我です。フランス語のタイトルは『Des Fleurs Pour Tokyo』です」とフランス語であいさつ。大きな拍手を浴びる中「フランス語の練習をしていて、日本語のあいさつはあまり考えていませんでした」と口にして観客を笑わせた。
「見はらし世代」は、団塚監督がオリジナル脚本も手がけた長編デビュー作。黒崎が演じた主人公の蓮は、幼い頃に母由美子を亡くしたことを契機に、ランドスケープデザイナーの父初とすっかり疎遠になった。成長し、再開発が進む東京・渋谷で胡蝶蘭の配送運転手として働いていたある日、配達中に初と再会。そのことを話すも、我関せずといった様子で黙々と自分の結婚の準備を進める姉恵美…そんな状態の中で、蓮は家族の距離を測り直そうとする。
団塚監督は「この映画はすごく個人的な実感から始まったのですが」と、製作の経緯を説明。「スタッフやキャストたちのアイデアがあって、ここ(カンヌ)までこられたと思います。改めてスタッフ、キャスト、そして私の家族に感謝を申し上げます」と感謝した。
黒崎も、まずはフランス語であいさつし「まだ、この映画を見ていないんです。だから、すごくドキドキしています。皆さんと一緒に、今日は楽しんで見たいと思います」と、自身もワールドプレミアで本編を初めて鑑賞することを明かした。上映を、初めて本編を見た感想を聞かれると「東京の今の風景と今の若者たちと生活がすごく詰まった作品になっていると思うので、数年後に見ても、あの時はこうだったなと思えるように、世代を超えた面白さが伝染していくような映画になるんじゃないかなと思います」と作品を評した。そして「本当にワクワクしていて、感謝の気持ちでいっぱいです」と、カンヌの地で上映できることに、心からの感謝を口にした。
「見はらし世代」は黒崎のほか、父初を遠藤憲一(63)母由美子を井川遥(48)姉恵美を木竜麻生(30)が演じる。長編初監督を対象にした新人監督賞「カメラ・ドール」は、カンヌ映画祭の公式部門だけでなく、併設して開催される独立部門である監督週間・批評家週間も対象となるだけに、団塚監督の受賞の可能性に期待がかかる。