「ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング」(C)2024 PARAMOUNT PICTURES.

トム・クルーズ(62)が体を張ったシリーズも第1作から30年、8作目となる。「ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング」(23日公開)は、その苦行に似たシリーズに一段落を付ける作品だ。

人類の存亡に関わる謎のAIエンティティを巡る攻防で、IMFのメンバーそれぞれが文字通りの危機にひんした前作の幕切れから、いよいよ反撃が始まる。

前作で登場した十字架型のカギは何に使われるのか、すべての核保有国のシステムへの侵入を試みるエンティティを止める術はあるのか…この作品でそのすべてに答えが出る。

前半は北極海に沈んだロシアの原潜に侵入する深海の描写に息を詰め、後半は飛び交う2機の複葉機の間でまるで体操選手のような身体能力に息をのむ。ともに特殊効果に頼らない実写の迫力に満ちている。

クルーズ=クリストファー・マッカリー監督のコンビは、今回も工夫に満ちた「見たことのない光景」を演出して期待を裏切らない。

海底を転がる原潜内は、音響も素晴らしく、重圧感が再現される。このシリーズならではの規格外の大型セットを想像する。なんともぜいたくだ。

複葉機はAIエンティティの手が及ばないアナログの象徴だが、「トップガン」の想像を超えたスピード感とはひと味違う「実感速度」がよりヒヤヒヤ感を盛り上げる。実写ならではの「タイミング待ち」の瞬間も垣間見え、クルーズの必死の心持ちがひしひしと伝わってくる。

第1作で30代のバリバリだったクルーズは、いったいどうやって30年間も肉体を維持しているのだろう。前半の海中シーンで、これでもかと見せつける肉体は、むしろ若返ったかのように見える。

そうか、あの人物が…第1作にさかのぼる「回答」もあって、シリーズにちりばめられた途中経過にしっかりと区切りを付ける律義さにクルーズの誠実さを実感する。

グレース(ヘイリー・アトウェル)ルーサー(ヴィング・レイムス)…メンバーには今回も見せ場が用意され、それぞれに持ち味を発揮する。前作に続く悪役ガブリエル(イーサイ・モラレス)もしっかり手ごわい感じを出していた。

最近、2時間を超えると尿意が心配になるが、2時間49分はあっという間だった。【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)

情報提供元: 日刊スポーツ_芸能
記事名:「 トム・クルーズは若返った? 今作も体を張った「見たことのない光景」 「M:I」シリーズ8作目