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トランプ米大統領が4日、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」を更新し、米国外で製作されて米国に輸入されるすべての映画に100%の関税を課すと発表した。商務省と米通商代表部(USTR)に対し、関税発動の手続きを承認したとつづったトランプ氏は、米国の映画産業が「急速に衰退している」ためだと説明している。

米国の映画製作者やスタジオを誘致するため優遇措置を提供する他国による協調的な取り組みを、「国家安全保障上の脅威」だと非難。さらに「他のすべてに加えて、メッセージとプロパガンダだ!我々は再びアメリカで映画が製作されることを願う!」と述べている。

ラトニック商務長官は、X(旧ツイッター)に「着手する」とコメントしたものの、詳細については明らかにしていない。

映画業界の調査会社ProdProの最新の年次報告書によると、昨年の米国での映画製作費は145億4000万ドルで、2022年以降26%減少している。この間、映画製作の誘致のために大規模な減税措置を講じるカナダやニュージーランド、オーストラリア、アイルランドなどでの撮影が増えている。ハリウッドへの製作拠点の回帰を図るため、カリフォルニア州のニューサム知事は巨額の税額控除を打ち出していた。

米メディアは、トランプ大統領の発表を受けてこのような包括的な指示をどのように実行するのかは不透明だと伝えている一方、ハリウッドの映画業界全体に大きな影響を及ぼすと予想している。スタジオは大作製作の資金を世界中から調達し、定期的に国外から映画を輸入して利益を出していると指摘。米CNNは、米国の映画製作に不利益をもたらす可能性があると伝えている。

ニュージーランドで製作された12月公開予定のディズニーと20世紀フォックスの共同作「アバター ファイア・アンド・アッシュ」、英ロンドンで撮影中の「アベンジャーズ:ドゥームズデイ」(26年5月公開予定)、「スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ」(26年7月公開予定)などが、今後影響を受ける大作になると伝えられている。

また、劇場公開作だけでなく、ストリーミング配信への影響も避けられず、特にアニメ業界は大きな打撃を受けるとみられ、9月に北米公開予定の「劇場版『鬼滅の刃』無限城編」第1章などにも影響が及ぶ可能性がある。

トランプ大統領は1月、俳優ジョン・ボイト、シルベスター・スタローン、メル・ギブソンの3人を「ハリウッド特別大使」に任命すると発表。ハリウッドの映画産業を復活させると宣言していた。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)

情報提供元: 日刊スポーツ_芸能
記事名:「 “輸入されるすべての映画に100%の関税”トランプ大統領が発表