左から7代目尾上菊五郎、8代目尾上菊五郎、6代目尾上菊之助(2025年撮影)

東京・歌舞伎座で上演中の菊之助改め8代目尾上菊五郎、丑之助改め6代目尾上菊之助の襲名披露興行を4日に見てきました。昼の部は市川團十郎の弁慶に、8代目が富樫の「勧進帳」、8代目と菊之助、坂東玉三郎が白拍子花子の「京鹿子娘道成寺」、夜の部は8代目と菊之助、そして7代目菊五郎らが並んだ「口上」、「弁天娘女男白浪」は8代目が弁天小僧菊之助の「浜松屋見世先」、菊之助が弁天小僧、團十郎の長男市川新之助が日本駄右衛門、寺島しのぶの長男尾上眞秀が南郷力丸、中村時蔵の長男中村梅枝が赤星十三郎、坂東彦三郎の長男坂東亀三郎が忠信利平と、平均年齢11歳の子供たちによる「稲瀬川勢揃い」、最後は8代目と7代目が共演する「極楽寺屋根・滑川土橋」でした。

久しぶりに「團菊」が共演する「勧進帳」はまさに両雄並び立つという感じでしたし、8代目親子に玉三郎の3人による華やかな踊りは眼福でした。「口上」では團十郎から「7代目が銀座のクラブを探している」との暴露話が飛び出し、満員の場内は爆笑でした。音羽屋ゆかりの「弁天娘女男白浪」は8代目の弁天小僧は美しく華があり、子供たちが傘を手に登場し、花道に5人がずらりと並ぶ姿には頼もしさを感じました。36年前に丑之助(8代目)、新之助(團十郎)、勘太郎(勘九郎)、亀三郎(彦三郎)、亀寿(亀蔵)の「稲瀬川勢揃い」を見ていますが、彼らは今や歌舞伎界の中心的存在になっています。

8代目の菊五郎襲名が発表された時、7代目が改名せずに「7代目菊五郎」のままでいることに、否定的な意見もあったけれど、実際に8代目と7代目が並び立つ舞台を見ていると、2人の菊五郎がいることに違和感がまったくありません。7代目は楽屋での呼び方について「8代目を『はっちゃん』、7代目を『しっちゃん』と呼んでくれ」と言っているそうですが、さすがに大名跡の菊五郎に対して「はっちゃん」「しっちゃん」と呼ぶ人はいないでしょう。【林尚之】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「舞台雑話」)

情報提供元: 日刊スポーツ_芸能
記事名:「 襲名披露興行で8代目と7代目が並び立つ舞台、2人の菊五郎がいることに違和感はなし