若者に人気のシンガー・ソングライターの冨岡愛は明るい人柄が魅力的(撮影・宮地輝)

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新進気鋭のシンガー・ソングライター、冨岡愛(22)が存在感を増している。海外生活で培った感性で、洋楽と邦楽を融合させた音楽スタイルを確立。韓国での路上ライブでは800人以上を集客するなど、国内外で人気を高めている。このほど初めてスポーツ紙のインタビューに応じ、自身の音楽のルーツや、さらなるブレークに向けた意気込みを語った。【玉利朱音】

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日韓を中心にグローバルに注目を浴びる、SNS発の次世代シンガーだ。温かみのある心地よい歌声に、日本語と英語を織り交ぜたキャッチーな歌詞や、洋楽と邦楽を融合させたサウンドが支持されている。

4歳から中学卒業までをオーストラリアで過ごした。「オーストラリアを離れる時、幼なじみたちがグレイテスト・ショーマンの『A Million Dreams』を合唱してくれたんです。今でもその曲が流れた瞬間、一瞬にして当時に戻れます。“懐メロ”というか、私もそういう存在になりたいなって思うんです」と頬を緩めた。

テイラー・スウィフトの弾き語りに憧れ、中学2年生でギターを持った。邦楽にも触れ、特に影響を受けたのはZARDとaiko。「例えば、2文字で言えることを3分間の歌詞で書かれたりする。その遠回しの表現とかも、邦楽の魅力だと感じます」。

高校進学を機に帰国。初めての曲作りは、高校時代の男友達の失恋がきっかけだった。学校行事のプロム(ダンスパーティー)で、同友人が生徒全員の前でひざまずいて好きな女の子を誘ったところ、思いっきりフラれたのだという。

「なんて声をかけていいか分からず…。言えないことも曲に変換したら伝わりそうだと思って、その時にできたのが1作目になりました。本人にあてた曲だとは当時伝えなかったのですが、弾き語りをしたら『すごくいい曲だね』って言ってくれて。去年4年ぶりに会って『あの曲実はね…』と伝えました(笑い)」

★総再生数6億回突破ヒット

高校時代からシンガー・ソングライターとして踏み出し、インスタグラムで弾き語り動画の投稿を始めた。さらに友人の助言でTikTokの投稿にも精力的に励み、路上ライブも行った。

一躍脚光を浴びたのが、23年9月リリースの「グッバイバイ」。Spotifyアジア6カ国でバイラルチャートインを果たし、ENHYPENのSUNOOが歌ったことも話題に。さらにNetflixドラマ「恋愛バトルロワイヤル」挿入歌『恋する惑星「アナタ」』の振り付け動画が、Z世代中心に流行。SNS総再生数6億回を突破するヒットとなった。

SNSに韓国のファンからのコメントが多いことから、昨年4月に韓国の弘大で路上ライブを開催。SNSでの告知のみで800人以上が殺到し、警備員も12人態勢で行われた。「正直びっくりです。そんなにたくさんの人が会いに来てくれるなんて全く思っていなくて、すごくうれしい光景でした」と振り返った。

今年1月から4カ月連続配信リリースを行っており、2月配信の「かろやかに」はGLOBAL WORKのCMソングに。自身初のテレビCMタイアップで「CMのコンセプトもあって、聞くとちょっとハッピーに、足取りが軽くなる曲をイメージしました」。

さらに3月にはCoccoの名曲「強く儚い者たち」をカバーし、ドラマ「HEART ATTACK」の主題歌となった。今月23日には初の全英詞のオリジナル曲「New Style」をリリースするなど、着実に勢いを増している。

今後もさらなる飛躍を目指し、国内外で音楽活動を加速させていく。「大きい会場で、できる限りたくさんの人と同じ瞬間をシェアできたら」と意欲を見せる。「楽しいなと思うときに流したり、悲しいなと思うときにかけたりするような、誰かの人生に少しでも寄り添える曲を作っていきたいです」と力を込めた。

◆冨岡愛(とみおか・あい) 2002年(平14)10月6日生まれ、東京都出身。4歳から中学卒業までをオーストラリアで過ごす。17歳で楽曲制作を始め、21年に「優里×17LIVEネクストブレイクシンガー発掘オーディション」でグランプリ。作詞作曲、アートワーク、映像制作をセルフプロデュースする。4月に初の東名阪ツアーを開催。

■韓国大型フェス日本人初出演

昨年6月、韓国の大型フェス「Tone&Music Festival」に日本人アーティストとして初出演。同9月には初の韓国ワンマンライブで1000人以上を動員した。EXOシウミン主演の韓国ドラマ「ホ食堂~時空を超えた恋のシェフ」挿入歌にも選ばれるなど快進撃を続けている。韓国でのブレークを受け「声の音色がウケたんじゃないかと言っていただくことが多いです。歌詞の(韻の)踏み方とかも面白かったのかな?」。どこかレトロな質感のファッションなども特徴的。韓国で90年代レトロブームが再燃していることもあり、国境を超えて流行に敏感な若者の心もつかんでいそうだ。

情報提供元: 日刊スポーツ_芸能
記事名:「 日豪韓の感性を音楽にぶつける冨岡愛 テイラー・スウィフト、ZARD、aikoに影響の22歳