竹野内豊主演映画「雪風」で玉木宏が初共演、奥平大兼、當真あみ、田中麗奈、中井貴一出演
竹野内豊(54)が、主演映画「雪風 YUKIKAZE」(山田敏久監督、25年8月15日公開)で、玉木宏(45)と初共演することが16日、分かった。玉木は、竹野内が演じる太平洋戦争の終戦をほぼ無傷で迎えた、大日本帝国海軍で唯一の駆逐艦「雪風」艦長・寺澤一利の部下の先任伍長・早瀬幸平を演じる。
また、奥平大兼(21)が、雪風の若き水雷員・井上壮太役で戦争映画に初挑戦。當真あみ(18)は玉木演じる早瀬の妹サチ、田中麗奈(44)が竹野内が演じる寺澤の妻志津を演じる。そして中井貴一(63)が、天一号作戦(沖縄水上特攻)を敢行も、1945年(昭20)4月7日に九州南方海域で行われた坊ノ岬沖海戦で撃沈された戦艦大和と運命を共にした、実在の大日本帝国海軍第二艦隊司令長官・伊藤整一を演じる。
「雪風 YUKIKAZE」は、米国をはじめ、戦勝国からも“世界一の幸運艦”などとたたえられた伝説の“不沈艦”を、史実に基づきフィクションとして描いた作品。機動性の高い駆逐艦の中でも、雪風は敵の攻撃で海に投げ出された兵士を救い続け、主力だった甲型駆逐艦38隻のうち、激戦を生き抜き、沈むことなく終戦を迎えたのは、雪風ただ1隻だった。竹野内が演じる寺澤は、さまざまな資料を基に生み出されたオリジナルキャラクター。玉木演じる早瀬は、下士官・兵を束ねる先任伍長で荒っぽい駆逐艦乗りたちの兄貴分として、熱くなると物申すなど時にぶつかり合いながらも、階級の差を超えて信頼し合う関係性だ。
玉木は「脚本を読んだ際、『生きる』、『後世へつなぐ』という強いメッセージが込められていると感じました。私が演じた早瀬、そして、戦時下の日本を懸命に生きた人たちを通して、この映画に込められたメッセージを届けられるよう撮影に臨みました」と作品の意義を感じ、参加したと明かした。そして「日本は今年で終戦から80年という年月が経ちますが、世界のさまざまな国や地域では、いまなお紛争が起きており、決して遠い昔の話でも、人ごとでも無いと思っています。いかなる時も人を思いやり、世界が、日本が、優しい気持ちで包まれ、平和な未来が創られますように」と戦争を描いた映画を、現代に届ける意義を強調した。
奥平が演じる井上は、ミッドウェイ海戦で沈没した巡洋艦から海に投げ出され、雪風に命を救われた乗員の1人で、運命のいたずらか、その後、雪風に乗り組みとなり早瀬の部下になる。奥平は「今回、初めて戦争のことを描いた映画に参加させていただき、多くの学びがありました。雪風のことはもちろん、当時に何が起きていたのかなど、知らなかった事を知るきっかけになりました」と初挑戦した戦争映画で得た収穫を語った。そして「僕が学んだ出来事を役を通して、この映画を見てくださる方々に伝えたい思いも強くあります。僕が演じた井上は、この映画をぜひ見ていただきたい若い方々と目線が近いと思っています。より多くの人たちに、この作品が届く事を願います」と同世代に作品を届けたいと熱く語った。
當真が演じるサチは、歳の離れた兄の無事を祈りながら懸命に生きる少女だ。「この作品に参加させていただけたことで、雪風という駆逐艦について知る機会ができました。駆逐艦の使命を全うしながらも一生懸命に生き抜こうとする力強い姿に心打たれました。私が演じさせてもらったサチは、そんな駆逐艦に兄が乗船しており、そんな兄を思いながらも、自身も国のためにと働きます」と作品に参加できたことに感謝。「この作品を見ていただく方に、改めて戦争とは何だったのかを知ってもらえる作品だと思います。特に、私と同じ世代の方は、戦争についてあまり知らないという人もいると思います。この作品をきっかけに知っていただけるといいなと思います」と、奥平同様、同世代に作品が戦争を知る機会になれば、と期待した。
田中は、幼い1人娘を育てながら艦長である夫の帰りを毅然(きぜん)とした態度で待ち続ける女性を、見事なまでに演じ切った。「まずはこの映画に参加させて頂き、命の重さ、大切さを改めて感じることができましたことに感謝です。望む望まざるにかかわらず時代に翻弄(ほんろう)されながらも前を向き、必死に生き抜いてきた人々への尊敬の念を抱かずにはいられません」と出演に感謝。「かつてこの国に戦争があったこと、そして今も世界のどこかで尚も起こっている出来事から目を背けず、それを知ることの意義はとても大切だと感じています。たくさんの方々に映画を見ていただきながら改めて平和への想いを感じてくださる時間を過ごして頂ければ幸いです」と作品を通して戦争を知って欲しいと訴えた。
中井は、伊藤整一を演じるにあたり「雪風が持っていた幸運は、艦長や乗員たちとともに雪風自身が呼び寄せたものではないでしょうか」と、雪風への考え方を示した。その上で「『戦いに行く』ということより『人を救う』ことを考える艦は、やはり生き残るのです。人間もまた同じ。いまだに、戦火が止むことのない時代。雪風は、我々にいろいろなことを教えてくれているような気がします」と続けた。
悲運の提督・伊藤整一は、これまでいくつもの作品で描かれてきた。53年の映画「戦艦大和」(阿部豊監督)で高田稔さん、63年の映画「太平洋の翼」(松林宗恵監督)では藤田進さん、81年の映画「連合艦隊」(同)では鶴田浩二さん、90年のフジテレビ系ドラマ「戦艦大和」では仲代達矢(92)同年のTBS系ドラマ「愛と哀しみの海 戦艦大和の悲劇」では田村高廣さん、05年の映画「男たちの大和/YAMATO」(佐藤純彌監督)と名優が演じ続けてきた伊藤を、中井がどう演じるかに注目だ。
また、軍令部作戦課長・古庄俊之役を石丸幹二、志津の父葛原芳雄を益岡徹、雪風の砲術長・有馬岩男役を藤本隆宏、航海長・中川義人役を三浦誠己、水雷長・佐々木伊織役を山内圭哉、機関長・藤井道郎役を川口貴弘、主計長・佐藤捨造役を中林大樹、大和艦長・有賀幸作を田中美央が、それぞれ演じる。