井上咲楽「おしりで体重を受け止められるような練習も」東京マラソンで自己ベスト1分43秒更新
井上咲楽(25)が2日、東京マラソン2025を自己ベストの3時間24分23秒でゴールした。
5度目の東京マラソンで、自己最速を1分43秒更新。これはもう、めちゃくちゃ速い。そして宣言通りのタイムだった。前日に「3時間24分か23分くらいで走れたら」と言っていた。
「自分の実力が今どれくらいかなっていうのを、10キロとか20キロ走ってみて。このペースで走れるならこの記録いけるなっていうのでちょっと余裕を持って設定しました」。当日は気温上昇が見込まれること。自身が暑さには弱いことも加味した。
1分半を縮めるための準備をしっかり積んできた。ペースランニング。ジョグのペースを上げるためのインターバルトレーニング。フォーム修正に取り組んで無駄な動きを減らした。「今でもちょっと独特とは言われるんですけど、数年前と比べたら独特さが消えたかなと思ってて。スピード練習の時に、おしりで体重を受け止められるような練習もしました」。
自然道を走るトレイルランニングも多くこなした。「ロードに戻ったらペース落ちるかなとか気にしてたんですけど、全然そんなことなくて。私は(1キロ)4分半で20キロ走るのが今まで全然できなかったんですけど、それができるようになったんです。山とロードを組み合わせていけば強くなれるっていう、確信みたいなものが持てた」。
話す内容がタレントというよりもランナー。多忙ながら、仕事後に公園に寄って走ることもあるという。かといって追い込む練習が好きなわけではなく「私はジョグが好きで。楽しい方のランに走っちゃうんですけど」と笑った。
それでもなぜ、挑むのか。「4時間、5時間、6時間ってマラソンとしては長い時間なんですけど、逆にそんな短い時間の中にいろんな感情が詰まっている。つらくなった時に自分はどうするんだろうとか、いざ直面すると逃げようとするんだなとか。究極のところで、そういう自分に気付かせてくれるスポーツ。マラソンで乗り越えられたら、日常でも頑張れるって思えたりします」。
初めて42・195キロを完走したのは19歳の時だという。「つらい、苦しい、総じて楽しい」とも言った。何げなく過ごせば、たった3時間半。本気で走る3時間半には、その何十倍もの、苦しいや楽しいが濃縮されるのだろう。大学時代、一応陸上部にいながら、何の運動もしていない私はひたすら尊敬の念を抱いた。【鎌田良美】