「もこ もこもこ」の展示。リラックスモードで絵本を体感できる空間でした

<はるかぜの便り:UX大西遥香アナウンサー>

「絵本なんて、もう何年も読んでいないな」

そんなことを思いながら足を運んだのが、新潟県立万代島美術館(新潟市中央区)で開催中の「谷川俊太郎 絵本★百貨展」(4月6日まで開催)。昨年11月に亡くなった詩人・谷川俊太郎さんが関わった絵本を中心に、言葉や絵が織りなす世界をめぐってきました。

「もこ もこもこ」「ことばあそびうた」「へいわとせんそう」……子どもの頃に読んでいたり、あるいは、大人になった今、やっと出会えた作品もあります。ひとつひとつを眺めていると、幾多の言葉とさまざまなタッチの絵に一瞬で引き込まれ、絵本の世界を旅しているような気分になりました。

谷川さんの詩は、どれもシンプルなのに、心にすっと入り込んでくるのが不思議です。中でも印象に残ったのは、「もこ もこもこ」の展示。朗読は谷川さんご本人で、ぐるりと囲む大きいスクリーンに絵が映し出されます。寝転がってその空間に浸ることができるようになっていました。

たった数語なのに、谷川さんの言葉と声と絵が重なると、こんなにも豊かな情景が広がるのかと驚かされました。読者の想像力を押し広げる、そんな絵本の本質をあらためて実感しました。

展覧会を見終わって感じたのは、子どもの頃はただワクワクしながら読んでいた絵本が、大人になった今は、違った形で心に響くということ。

「言葉っておもしろいな」「こんなふうに世界を見つめることもできるんだ」「日本語って美しい」

絵本を読む時間は、自分自身の感受性のさらなる広がりと向き合えたようにも思え、“ちょっといい自分”になれた気がしました。

来場者数は1万人を超えたそうです。みなさんもぜひ、いろいろな絵本と出会ってみてください。(新潟テレビ21アナウンサー)

情報提供元: 日刊スポーツ_芸能
記事名:「 【コラム】大人の私が、再び絵本を開く理由/大西遥香