サカナクション山口一郎(2021年10月撮影)

うつ病を公表している、サカナクション山口一郎(44)が14日までにインスタグラムを更新。「僕は多分、もう大丈夫です。あとは便秘が治れば完璧だ」とつづった。

山口は、うつ病による体調不良で22年7月から休養と療養を続けてきたが、24年1月にステージに復帰。2年ぶりとなる全国アリーナツアーも敢行し「去年のアリーナツアーを完走した事で、鬱病と共生しながらライブを行う事はできると証明できた」とした。一方で「その自信もあって『作詞作曲』という行為も、新しい習慣を獲得し、比較的容易に波に乗り、海の干満のように押したり引いたりスムーズに取り組めると思っていた。でも、それは浅はかだった」と続けた。

その理由として「この病気は脳の病なのだと実感したのだ。まず本が読めない、集中力が続かない、客観視ができない、すぐ疲れ、無理をすると『揺り戻し』と戦う羽目になる」と説明。「これは明らかに加齢から来るものではなく、不自然な脳のバグだった。改めて元には戻れないのだと自覚しただけでなく、『新しくなる』という事も簡単ではないのだと絶句する日々だった」と振り返った。

その上で「しかし、どうしても書き上げなくてはならない。その為に試行錯誤し、1日24時間をどう消化するのが音楽を作る為に最善なのか、自分の知らない自分と会話した」と、自らと向き合ったとつづった。「この会話はなぜか懐かしかった。思春期の頃、走り出したい気持ちを抑え、何と戦っているのかわからないまま、ただ部屋を暗くし、不必要な苛立ちを小樽の実家の窓から、月と海を眺める事で誤魔化していたあの頃の感覚と非常に似ていたのだ」と振り返った。

そして、作詞作曲の手法を変えたと説明。まず、今までは「Illustratorで歌詞を書いてきた。一曲に対して何パターンも歌詞を書き、それをカットアップすることで、自分の書いた言葉の意味を超えた時が完成と捉えていた」と説明。その上で「しかし、この作法では、鬱病と共生しながら歌詞を書き上げる事ができないと今回の過程で明らかとなった。なので、目を閉じ、中学生の頃のように、メロディからただ滲み出てくる言葉を待つことにしたのだ」と、中学時代の原点に戻ったとつづった。

それは「作業を飛躍的に好転させた」という。「字面のデザインや意味や言葉のリズムだけではなく、作為的な無意識を作り出す新たな手法の構築の手助けになったのだ。しかしこれは、、つまりは『当たり前の過程』だった。原点であり原液だ。病気の為に新しさを追い求め、辿り着いたのは怪獣のようにただ叫ぶだけだった思春期の手法を思い出すことだったのだ」と原点に回帰したことを強調。「何とも不思議で遠回りで、まるで馬鹿みたいな話だが、この病気を患ったおかげで懐かしい自分に会えたし、謎に今までの自分の作法の構造を理解できたのだ」とした。

情報提供元: 日刊スポーツ_芸能
記事名:「 うつ病公表サカナクション山口一郎「僕は多分、もう大丈夫」作詞作曲の手法で原点回帰