爆風スランプ「大きな玉ねぎの下で」初日舞台あいさつでサプライズ熱唱、神尾楓珠ら感動で固まる
爆風スランプが7日、東京・丸の内TOEIで行われた映画「大きな玉ねぎの下で」(草野翔吾監督)初日舞台あいさつにサプライズで登場し、映画のモチーフとタイトルになった同名の代表曲を生披露した。
ボーカルのサンプラザ中野くん(64)とギタリストのパッパラー河合(64)が登場すると、聞いていなかったダブル主演の神尾楓珠(26)と桜田ひより(22)はじめ、共演の伊東蒼(19)藤原大祐(21)窪塚愛流(21)瀧七海(19)は一斉に驚き、固まった。神尾が「何…うわっ! こんなこと、あっていいんですか? 全く気付かなかった。今までと緊張が違う」と驚けば、窪塚も「聴く前から泣きそうな感じ。手汗がすごい」と緊張した。
中野くんは「隠れてました。ご存じかご存じじゃないか分かりませんが、武道館が満員にならない時の、言い訳のために作った曲でした。40年後、こんな神展開があると思わなかった。河合さんと号泣しました」と経緯を語った。河合も「85年から40年、歌っているけど、映画は丁寧に作られ、リスペクトが感じられる」と語った。その上で、2人は歌った。
歌い終えると、中野くんは「気持ち良く歌わせてもらいました。うれしかったですね」と満面の笑みを浮かべた。「大きな玉ねぎの下で」は、文通相手と初めて武道館で待ち合わせる恋模様を描いた「大きな玉ねぎの下で」の歌詞にインスパイアされた小説家の中村航氏(55)が、手紙やノートでのやりとりを通して顔も知らない相手に恋する原案を作成。中村氏が、爆風スランプのボーカルで「大きな玉ねぎの下で」を作詞したサンプラザ中野くんとラジオ番組で対面し、同曲をモチーフにした小説を書きたいという思いを抱き続けたこともあり、映画のモチーフとなる楽曲に決定。爆風スランプも企画を快諾。「普通、原作者的な立場だとチェックしますけど、私は『本当ですか! 全然、やってください』と。こんなご褒美があると思わなかった」と、改めて映画化を喜んだ。
この日、舞台あいさつが行われた丸の内TOEIは、東映本社も兼ねる東映会館の再開発に伴い、7月27日に閉館し、約65年の歴史に幕を下ろす。中野くんは、同劇場が1960年(昭35)9月20日に完成したことを踏まえ「劇場は60年に建てられて今年の夏、終わる。僕らも60年生まれなんですよ」と感慨深げに語った。
俳優陣も、爆風スランプの歌唱後、感激に心を震わせた。神尾は「この感情は言葉にできない。撮影中、ずっと聴いていたので。歌い方も違うし、今の中野さんだからこそ伝わるものがある」と熱く語った。桜田は「こんなことがあるのかなぁと、夢みたいな気持ち。おふたり、格好良いです」と、爆風スランプの2人に羨望(せんぼう)のまなざしを送った。
映画は、神尾が演じた将来に希望が持てない大学4年生の堤丈流と、桜田が演じた自分の夢をまっすぐに追う看護学生の村越美優が、夜はバー、昼はカフェになる店でそれぞれ働くところから始まる。2人は顔を合わせることがない中、業務連絡用のバイトノートで心を通わせ、顔も知らない相手に恋して、武道館で初めて会う約束をする物語。映画の舞台は2024年だが、劇中に登場するラジオ番組で語られる、30年前の文通相手との恋も物語では描かれる。89年までさかのぼり、手紙を通したもう1つの恋の物語も紡がれる。そんな原案を手がけた中村氏が、映画とは全く別のストーリーで小説を執筆した。
中野くんは試写を見た後「おえつして言葉にならなくて河合さんと抱き合った。同じ事務所の滝さんに見られていた」と笑いながら振り返った。滝も「もらい泣きしました」と笑顔で明かした。河合は「私、試写で3回とも、バラバラと泣いちゃいました。3回目に29歳の息子を連れていったら、いいと言っていた。若い世代にも通じる」と太鼓判を押した。