【解説】フジ権威の象徴・日枝久氏欠席は残念 同情票集める効果も/東北大特任教授・増沢隆太氏
フジテレビが、中居正広氏(52)の女性トラブルに社員が関与したなどと報じられた件について27日に行った2度目の会見は、異例のロングランとなった。
午後4時に始まった“やり直し会見”は、午後10時前から約15分の休憩を1回はさんで、深夜2時23分頃に終了した。10時間23分を要した会見から一夜明けた28日も逆風は収まらず、各所に反響が広がった。危機管理コミュニケーションに詳しい東北大特任教授の増沢隆太氏は今回の会見や、今後の見通しについて解説した。
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◆増沢隆太氏の解説
27日の記者会見で、フジテレビは得たものが多かったと思います。10時間を超える長時間の会見で、SNSでも目立っていた「フジテレビ、頑張った」という同情票を集める効果もあったということです。17日の1回目会見では、発言できる材料がほとんどゼロの“丸腰状態”で臨んだことに比べれば、質問者からすると満足な回答でないにせよ、誠意の伝わるアンサーだったのではないでしょうか。
27日の会見での忘れ物としては、権威の象徴とも評される日枝久氏が出席しなかったことは残念でした。強烈な影響力を維持したリーダー後で、有望な後継者が出てこないという前例が数多くありますが、日枝氏の残像を払拭できる状態を作れるのか。
今後、現在のフジテレビの部課長クラスの人材を、経営陣として選べるかどうかだと思います。フジテレビには優秀な若手社員が多く在籍しています。80~90年代にすばらしい脚本家らを発掘できたリサーチ能力はさびていないはず。13日時点で約80人だった組合員が500人以上まで急増した事実もあります。
経営陣が社員と交わることがなかったという風評も聞こえてきますが、(3月末を期限にした)第三者委員会のメスが入ることで、よどんでこびりついていたウミを出し切って、今後実施される調査には全面的に情報開示していく。同時に清水賢治新社長を中心としたプロジェクトチームを組んで、離れていったスポンサーの信頼を回復していきたいところです。さらにCMの新規開拓を積極的に行って、新生フジテレビを全面に出していけるか。
80年代から変わらなかったとされるフジテレビの企業風土をガラリと変えられるのは今しかないんでしょうね。