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兵庫県知事選で再選された斎藤元彦知事をめぐり、11月30日放送のTBS系「報道特集」では知事の選挙戦の内幕や疑惑をあらためて追及した。司会の村瀬健介キャスターは、知事の疑惑を告発した後に亡くなった元県民局長に対する公益通報者保護について、斎藤知事から「人ごとのような回答しかありませんでした」と、強く批判した。

番組では、SNSでの支持拡大を背景に再選された斎藤知事の選挙戦や、公益通報の問題点を特集した。選挙戦では、NHKから国民を守る党の立花孝志党首が、自身の当選は目指さず斎藤氏をサポートする異例の展開となったことを紹介。「立花氏は『斎藤氏ははめられた』などと自身の考えを繰り返した」などと伝えた。

また選挙戦中、斎藤知事の支持者が集まったLINEグループに登録したという女性を取材。登録時は「『チームさいとう』公式LINE」のタイトルだったという。女性によると、LINEグループでは、ボランティア募集告知や県外から応援者が駆けつける様子などが伝えられたとした。さらに管理者からは情報の「拡散指示」が出たと明かし、中には「行政・司法・警察・報道 全てがつながっていた」というタイトルのYouTubeの拡散支持もあったと説明。「『斎藤さんは騙された』『県民局長が悪』みたいな議論がなされて、一気に拡散していきました」と語った。斎藤知事が「共闘」を否定した立花氏の動向も共有されていたという。

また、斎藤知事の疑惑を告発後に亡くなった元県民局長と親しかったという県の現役職員も取材。斎藤知事が任期中、告発が公益通報にあたらないと判断して元局長を処分し、その後に元局長が亡くなったことについて、無念の思いを語った。さらに、立花氏が選挙戦から現在まで、元局長のプライバシーに関わるとされる情報を拡散していることにも触れた。

先月28日、村瀬氏が斎藤知事にその点を取材した場面も放送。「元県民局長の人格を破壊するような譲歩が、これだけ大っぴらに流れているのは大変問題だと思うんですけれども」という問いに、斎藤知事が「今回の選挙戦については、立花さんとはもともと一切知らなかった仲ですし、選挙戦を通じてお話をさせていただいたのは公開討論会の時に一度ごあいさつをした、というだけ」と語った様子が映された。

さらに村瀬氏の「知事という立場にあるので、何らかのメッセージを発信するべきではないんでしょうか」という問いには、斎藤知事は「私は選挙戦の時は知事という立場ではなかったので、いち候補者として選挙戦はしっかり…」と回答。村瀬氏が「今もこの情報はネット上で流布され続けている」と重ねると、斎藤氏は「インターネット上における誹謗(ひぼう)中傷とか、人を傷つけるようなことはやはり、あってはならないと思いますし、そこは各発信者、受信される側もSNSにきちっと対応されることが大事」と述べた。

スタジオでこのやりとりのVTRを見た村瀬氏は「公益通報者保護法というものができてからは社会のあり方が変わってきたのかと思ったんですけれど、今回兵庫県で起きたことは、公益通報者保護という観点からは、本当に恐ろしいことが起きている。公益通報をした人が亡くなるという、いたましい事態に発展した上に、亡くなった後も選挙の中で、そして今も、その方のプライベートな情報とされるものが流布されています」とまとめた。さらに斎藤知事の対応についても「VTRにあったように、人ごとのような対応しかありませんでした。これは知事本人に対する批判が書かれた文章が巻かれた時に、すぐに知事の権限を使って犯人捜しをして、会見で『うそ八百』だとか『公務員失格』などと激しく反論したことと、あまりにも違う対応ではないかと思う」と批判。トップとして「元部下やその家族の人権を守る姿勢を見せて欲しいと思います」と呼びかけた。

放送後には「報道特集」がトレンド入り。賛否の声が多く上がり、大きな反響となっている。

情報提供元: 日刊スポーツ_芸能
記事名:「 斎藤元彦知事は「人ごとのような対応」疑惑追及「報道特集」に反響「恐ろしいことが起きている」