桂文枝「これから円熟味のある落語を聞けると思ったのに」桂雀々さんをしのぶ
落語家の桂文枝(81)が23日、所属事務所を通じ、糖尿病からの肝不全のため、64歳で亡くなった落語家桂雀々(かつら・じゃくじゃく、本名松本貢一=まつもと・こういち)さんをしのんだ。
文枝は2月24日に行われた雀々さんの独演会に昼夜ゲストに招かれた。「落語1席と雀々師の2席目の後のトークコーナーで幕という、僕にしたら非常に変則的な落語会でした」と振り返りつつ、「本来は雀々師の落語で幕となるところだけれど、そこが枝雀師匠の薫陶を受けたところだと思う。違うことをやりたい」と雀々さんの胸の内を思いやった。
10月には、姫路で行われた文枝の弟弟子の桂梅枝と、直弟子の桂慶枝の襲名披露興行に雀々さんがゲストとして出演した。その際、文枝の楽屋で長話をしたことに触れ、「若い頃、ざこば師匠に連れて行かれて飲み歩いたこと。ちなみに、雀々師の奥さまはざこば師匠の奥さまの妹さんに当たる。だから、いかに仲が良かったか。ざこばさんの死はショックだったに違いない」
話は雀々さんの師匠枝雀師さんのことにも及び、「師匠の反骨精神落語を面白く見せたいという熱い気持ちを、1番受け継いでいる弟子さんだと思っていたけれど、ますます、そうだと確信した」。
今月上旬に行われた博多天神落語まつりで、「また話せる」と楽しみにしていたが、雀々さんが体調不良で仕事を休演し、かなわず。「体調を崩して休演された。その頃からなんとなく嫌な予感があった。そしては、訃報。枝雀師匠よりも少し長生きしたとはいえ、64歳の夭折(ようせつ)は勿体無い。これから円熟味のある落語を聞けると思ったのに。このたび別れは辛い、悲しい、せつない。もっともっともっと話したかった」と無念の胸中を吐露した。