テレ東田中瞳アナ初著書で生い立ちから考え方まで「ありのまま」明かす 年末年始は「無病息災」
テレビ東京田中瞳アナウンサー(28)が、初フォト&エッセー「瞳のまにまに」(講談社)を20日に発売した。
日常生活や仕事についてつづった約20編の書き下ろしエッセーをはじめ、番組で共演するさまぁ~ずや「一番ご自宅にお邪魔している」という先輩の狩野恵里アナ、高校時代の友人との対談、秘蔵写真など満載の内容で発売前重版にもなった話題の1冊だ。21日までに日刊スポーツの取材に応じ、見どころなどを語った。
「ありのまま」の姿を記すという思いを込め「瞳のまにまに」というタイトルも自身で考案した。執筆経験などはなかったといい「テーマを決めて書き出すのが難しかったので、日々の生活の中で生まれた感情をメモして、書けそうだなと思ったことに手を付ける形で書きました」。エッセーでは物事を俯瞰(ふかん)してつづる冷静な語り口や、自身の琴線に触れたことなど、その“目線”がひしひしと伝わってくる言葉が並ぶ。「たわいもないことをつらつら書いてしまったので、どう受け止められるのか少し不安もあります。このタイトルをつけて、うそをつかずに等身大の自分を書こうと。見てほしいけど、どこかで見逃してくださいって思いながら書きました」と率直な気持ちを口にした。
「私がいつも自分のことを話さないので」と対談相手には語らずとも自身をよく知る人物を選んだ。新人時代から「モヤモヤさまぁ~ず2」で共演し、田中を熟知するさまぁ~ず、同番組にも出演していた先輩で、テレ東アナウンサーの中で最も公私共に交流がある狩野アナら。さまぁ~ずの2人には著書の帯コメントも依頼した。
高校時代の友人との対談ではアルバイト経験についてや、母子家庭で育ったことも初めて明かした。田中が0歳の時に父親を事故で亡くしており「母を困らせないようにしようという思いはありました。だからあんまり泣かない子でした」と振り返る。社会人になると入社当初から「落ち着いている」「大人びている」と評されることが多かったといい「自分の妙な落ち着きとかの根底にその経験がある気がしていて、そういう大事なことを書いておいた方が良いのかなと思いました。物心ついた時から父はいないけど、母の姿を見ているので、失っているという実感はありました。(2学年上の)兄もあまり体が強くなくて目が離せないところもあったので。子どもの頃から『しっかりしよう』と自然に思って過ごしていましたね」。
母には甘やかされることなく育てられたといい、かつての取材でも「家はまあまあ厳しい方だったと思います。母が1人で2人分厳しくしてくれているところもあって。小さい頃、夕飯を祖父母と食べることが多くて、見ていたテレビがNHKばかりなのはその影響です。最近の流行りものについていけない幼少時代ですよね」と語ったこともあった。
テレ東では新人時代から「モヤモヤさまぁ~ず2」のアシスタントを任されるなど、期待を背負って成長してきた。2020年からは看板経済ニュース番組「WBS(ワールドビジネスサテライト)」のフィールドキャスターも担い、2023年にオリコンニュースが発表した「第20回好きな女性アナウンサーランキング」ではトップ10入り。硬軟さまざまな番組に対応できる力は局内外で高く評価されている。
田中は「経済系の知識はイチから勉強しました。原稿も経済ニュースは難しいです。最初は『やっていけるのかな…』と思いましたけど、難しくしているわけではなくて、むしろ生活に身近な観点で取材することが大事なのかなと思って。それに気づいてからは面白く感じられてきています」と話した。
今年で入社6年目。近年は増えてきた後輩のケアにも意識を向けている。「それぞれタイプがありますし、アナウンサーはこの時こうするべきみたいな決まり事はないんですよね。私は人に相談しないタイプだけど、誰かに頼りたい子もいる。なので、接し方には気をつけています」と笑う。それでも「みんないい子だからこのままうまくいくと思います」と力も込めた。「冗談みたいな話ですけど、いい子であることはとても大事なことだと思っています。いい子という考え方もまた難しいですけど、人に取材したりする仕事ですから、思いやりがあって人に優しくできる人じゃないと絶対にできない仕事なので。今、私の下にいる子たちはみんなとっても思いやりがある優しい子たちなので、この先も安泰です」。
自身は報道とバラエティーの二刀流を「これからも続けていきたい」と意気込む。「今の仕事のサイクルが生活の一部みたいになってきています。(「モヤさま」と「WBS」は)両極端に見えるけど、どちらもやっているからこそ精神的に健康なのかもしれないです。もともとバラエティーと報道志望だったので、これ以上のものはないです。歳を重ねたからこそできるバラエティー番組もあると思っていますし、できるだけ両輪で頑張っていきたいです」。
今年は11月に結婚も発表した。お相手はテレ東の同期社員で、数年間の交際の末に純愛を実らせゴールインした。かつて結婚について「本当にいずれという感じですかね。全然急いでもいないですし、絶対に子どもがほしいとかそういう気持ちもなく、タイミングですよね」と話しており、理想のタイプには「穏やかで空気のような人。自分の生活リズムを大事にしたいので、そこにふわーっと入ってくるような人がいいなと思います」と明かしていた。
さまぁ~ずの大竹一樹は帯コメントで今回の著書について「タイトルは『その瞳の理由』ですね」と記した。ありのままに思いをつづった文章から、田中の人物像がしっかりと浮かび上がる1冊。田中は「2024年は行きたい場所にも行けたり、本も出すことができて、一生思い出に残る年になりました」と感謝し「去年は年末に熱を出してしまったり、年明けから災害が起こったりと心がザワつく年末年始でした。私ももうすぐ30歳なので、健康に。忙しい生活ではありますけど健やかに続けられるように無病息災でいきたいと思います」と笑った。
取材前日。ヒールを履いて歩いていたところ「何もない道で」転倒し、足首を捻挫したという。撮影時以外は靴を脱いで対応。「昨日は壁つたいに歩いていたんですよ」。弱点がなさそうで、少しドジ。そんなところも田中の魅力だと感じている。【松尾幸之介】
◆田中瞳(たなか・ひとみ)1996年(平8)9月16日、東京都板橋区出身。成城大社会イノベーション学部では心理学を学ぶ。大学2年時にミスコンテスト準グランプリ。学生時代からキャスターとして活躍し、雑誌の表紙なども飾る。19年テレビ東京入社。同期アナは現在タレントとして活躍する森香澄と、今年9月に退社した池谷実悠アナ。好きな食べ物は甘納豆、あんず、そば、グラタン。最近の趣味は秋葉原で買った古いデジタルカメラで写真を撮ること。愛称ひとみん。166センチ。血液型A。