伝統芸能のコラボ舞台に意欲を見せた桂春蝶(撮影・阪口孝志)

落語家桂春蝶(49)、演出家のわかぎゑふ(65)らが18日、大阪市の上方落語協会会館で、舞台「RENBO Vol.2 忠臣蔵綺譚~桂春蝶『中村仲蔵』相勤め申し候~」(12月20~21日、ABCホール)の取材会に出席した。

春蝶、ABCテレビの桂紗綾アナウンサー、日本舞踊家の山村若静紀に地歌三味線奏者の菊央雄司が加わり、「落語」「文楽」「上方舞」をわかぎ演出のもと、伝統芸能の中に息づく音曲で紡ぐスペシャルステージ第2弾。

今回は12月開催ということもあって、広く日本人の心に染み渡る「忠臣蔵」をテーマに据え、それに関連する上方舞「廓(さと)景色」、創作朗読「仮名手本忠臣蔵」、落語「中村仲蔵」を演じる。

わかぎは「若い人たちは忠臣蔵を分かってない。世代間で文化、世界の縦分裂が起きていて、文化の横糸をつないでいかないと、もう残らないぞという危機感を持っている。今回、若い子たちに『忠臣蔵ってこんな話やったんや』と思うとともに、忠臣蔵から広がる世界観が昔からあったんだということを知ってもらいたい」と意気込み。

さらに、「今の子って恵まれていて、逆に向上心がなかったり、貫くっていう気持ちがなかったり。とても優しく、いい子が多い」と感じており、忠臣蔵の赤穂浪士のような人生の岐路に立たされた時に「『人生で1回でも自分を貫かないといけない瞬間が来たらどうする?』という提示をしたい。『腹くくった時に何て言う?』っていう、そのひと言を持っているかどうかを問えるような会にしたい」と思いを込めた。

一方、落語で、役者として最下級から成り上がった中村仲蔵を演じる春蝶は「舞台人って、日々悔しい思いをしている。中村仲蔵をやる時は魂が乗ってくる。どこかで僕もこの逆境に立ち向かいたいという言霊(ことだま)が乗る。中村仲蔵は多くの演者の自分の物語の代弁のように、今の時代につないでいっていると思う。今回もそういう舞台人の矜持(きょうじ)、意地を見せたい」。

続けて、仲蔵が妻のお岸から「役者の意地は舞台で通しなはれ」と言われたことを挙げ、「こんなことは嫁さんは絶対に言うてくれないですけど、言うてくれ待ちをずっとしてます。それを言ってくれたら頑張れるのになあ」と笑わせていた。

情報提供元: 日刊スポーツ_芸能
記事名:「 桂春蝶、中村仲蔵妻の「役者の意地は舞台で通しなはれ」に感銘 嫁さんが言うてくれるの待ち中