再放送決定の「カムカムエヴリバディ」制作統括、ラストシーンに「最後の伏線回収になるのかな」
朝ドラ史上初となる3人のヒロイン(上白石萌音、深津絵里、川栄李奈)が出演したNHK後期連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」(21年度後期)は、18日から再放送(18日スタート、月~金曜午後0時30分=NHK総合)が決まった。同ドラマの堀之内礼二郎制作統括が12日、オンラインで取材会に臨んだ。
昭和、平成、令和と時代が流れる中、ラジオ英語講座とともに歩んだ祖母、母、娘の親子3世代を描く100年の物語で、舞台は岡山、大阪、京都。朝ドラ史上初となる3人のヒロインを上白石、深津、川栄が演じた。
日本初のラジオ放送が始まったのが1925年3月22日。堀之内氏は「来年ラジオ100年」の、このタイミングでの再放送を「明確に意識していました」。
ドラマでは伏線回収が話題となったが、「ありがたいなと思っていた」とした上で、「(脚本の)藤本有紀さんが第1週を書く前に、最初から最後までの物語を書かれた。それをバイブルのようにして、僕らは本を待っていた。初めから最後まで読めば当たり前のように紡いでいる、最初と終わりがつながっていくんですが、初めからちょっとずつ描くことによって、『あの伏線がこうつながるのね』となっていった。あえて伏線を作ろうというより、100年の物語がここでこういう風に生きるのかって、視聴者の皆さんの中で伏線と思ってつながっていただいたのかな」と振り返った。
さらに「実は僕の中では最後の伏線回収だと思っていて…」と切り出し、「一番最後はどこか決めてなかったんです」。
収録が行われたのは、まさにコロナ禍のまっただ中。演者にもコロナ対策が求められていた。
「一番最後はコロナ禍で終わるんじゃなくて、もっとその先まで行きたい。そして、その時にはコロナ禍に負けていませんようにという願いを込めて、最終シーンを描いたんです。ビリー(城田優)とひなた(川栄)のシーンは誰もマスクしていない。そういうマスクを外して笑い合えるような世の中になっていますようにという願いを込めました」と裏話を披露。
25年にもう1回あのシーンを見たいと活動していたことを明かし、「再放送がかなって、『コロナ禍が明けたね。俺たち頑張ったね』という瞬間を迎えられるのが、最後の伏線回収になるのかなという気がしてます」と笑顔を見せた。
再放送にあわせ、特番「0からわかる『カムカムエヴリバディ』」(13日午後0時30分)「『カムカムエヴリバディ』あなたが選ぶ思い出のワンシーン」(14日午後0時30分=前編、15日午後0時30分=後編)を放送。「0から-」では、上白石、川栄や朝ドラ・ファンを公言するサバンナ高橋茂雄のインタビューも送る。
自ら高橋への取材も行った堀之内氏は「放送終了から2年半たっているのに、思い出のシーンを3つ選んで下さいと言ったら、『どれを選んだらいいんだ』と悩んで絞り出してくれた。途中で涙を流して語ってくれたりもした。こんなに熱い思いが残っているくらいのドラマを届けられたのがうれしい」と制作者としての喜びに浸っていた。