【宝塚】凪七瑠海本拠地別れ「勇気をもって決断」専科異例のサヨナラショー 明日海りお同期花束
宝塚歌劇団の専科スター凪七瑠海が10日、退団公演となる花組「ファンタジー・ホラロマン『エンジェリックライ』」「レヴュー グロリア『Jubilee(ジュビリー)』」の兵庫・宝塚大劇場公演千秋楽を迎え、入団約21年半を過ごした本拠地に別れを告げた。
この日、本編上演後にはサヨナラショーも上演。ショーは、全国ツアー初主演作から、凪七のソロ「パッション・ダムール」で幕開け。情熱的な赤いサテン生地衣装で歌声を響かせた。
新人公演初主演作「カサブランカ」からは、グレーのダブルのスーツに着替えて美風舞良と「銀色の翼」をデュエット。花組新トップ永久輝せあと「激情」から「自由と抑制」を歌い、掛け合いも。東上単独初主演作「蘭陵王」の「誰が大切か」もソロで披露した。
ノーブルな個性を生かし、薄紫色衣装に着替えても熱唱。最後は花組生全員を迎えて歌い踊り、締めた。
また、凪七とともに、永久輝と同期の綺城ひか理らも退団する。綺城は「ロミオとジュリエット」から「どうやって伝えよう」をソロで歌い上げた。
ショーを終えると、最後のあいさつに臨んだ。大階段は正装はかま姿でおり、中腹で一礼。花組生が並ぶ両脇を見渡し、満面笑みを浮かべた。花束は、専科から瀬央ゆりあ、同期からは元花組トップ明日海りおから贈られた。
花束を手に、一呼吸おいて、凪七は「気がつけば、宝塚の存在が幼い頃から、当たり前のように、ずっとそばにいてくれました」。退団まで22年に及ぶ宝塚生活は「人生のすべて」だったと言い「勇気をもっていろいろなこと、コツコツ挑戦し、乗り越えてまいりました」と振り返った。
「そして、最後に勇気を持って決断したことは、退団ということでした。ここまで情熱をもって愛した宝塚(との別れ)、相当な勇気が必要でした。ですが、今、最高に幸せと言い切れます」
客席を見渡すように笑みを振りまき「こんな気落ちになれましたのも、たくさんの愛に他なりません。すべての方々に、最大の愛と感謝を込めまして、22年間本当にありがとうございました」とあいさつを締めた。
いったん幕が閉じた後、複数回、カーテンコールにこたえ、永久輝から言葉を求められると、凪七は「まずは、ひとこちゃん、宝塚大劇場でのトップお披露眼、おめでとうございます」と、永久輝の本拠地お披露目公演の千秋楽を祝福。「今日は情緒を保つのが必死だったんですけど、今はとてもすがすがしい思いです」と晴れやかな表情で話した。
専科からのサヨナラショー開催は、05年の初風緑、樹里咲穂の例があるが、異例のケース。雪組トップから専科へ移り劇団理事も務めた轟悠(21年退団)は、大劇場作での退団ではなく、本人の意向もあって行われなかった。
凪七は今後、東京宝塚劇場公演の開幕を12月7日に控え、東京公演千秋楽の来年1月19日付で退団する。
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◆凪七瑠海(なぎな・るうみ)11月11日、東京都生まれ。03年入団。宙組配属。09年に月組「エリザベート」へ特別出演し、男役ながらエリザベートに異例の抜てき。同年「カサブランカ」で新人初主演。10年「ジュ シャント」でバウ初主演。13年1月に月組異動。14年「THE KINGDOM」大阪、東京特別に主演(美弥るりかとダブル)。15年、専科轟悠主演「オイディプス」でもヒロイン。16年9月専科。18年の花組「蘭陵王」で、東上作単独初主演。23年には星組全国ツアー「バレンシアの熱い花」「パッション・ダムール・アゲイン!」で、星組トップ娘役舞空瞳(当時)を相手役に迎え、全国ツアー初主演も務めた。身長169センチ。愛称「カチャ」「エリカ」。