渡辺えり(2023年4月撮影)

俳優西田敏行さんが76歳で亡くなったことを受け、、公私ともに親交が深かった渡辺えり(69)が17日、日刊スポーツの取材に応じ、西田さんをしのんだ。

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本当にショックです。高校3年の時、山形の市民会館で青年座「写楽考」の西田さんを見て圧倒されて、「女・西田敏行になりたい」と思って上京してきましたから。

矢代静一の名作戯曲で、牢屋(ろうや)に入れられても書きたいものを書くんだと信念をもって戦った写楽のお話。当時、西田さんは20代前半の若さでしたが、1200人の会場のいちばん後ろの席でもアップで見えたくらい、ものすごい存在感でした。当時の演劇界は主役は美男子が多かったけれど、いわゆる美男子ではない西田さんが演じるユーモアがある「写楽考」が素晴らしくて、「こんな役者になりたい」「女・西田敏行になろう」と思ったんです。

ユーモアがあって、出てきただけで太陽のよう。芝居も歌も踊りも何でもできて、全部が本物。マルチタレントという言葉がありますが、新劇の役者さんで「夜のヒットスタジオ」に出た人のはしりじゃないかな。その後に中村雅俊さんとかが続くんですよね。同じ東北出身者で、実力があってユーモアがある。あこがれの存在でした。

テレビドラマで妹役を演じたこともあるし、夫婦役を演じたこともあります。「写楽考」を見て上京したことを熱くお話ししたら笑ってくれました。最後にお会いしたのは5、6年前ですね。飲みに行って、大好きな高畑淳子さんを紹介してくれました。高畑さんとはその後「老後の資金がありません」「さるすべり」などで共演していますが、そのきっかけを作ってくれました。

お世話になりっぱなしだったし、また共演もしたかったので残念です。今は感謝しかありません。

情報提供元: 日刊スポーツ_芸能
記事名:「 渡辺えり「女・西田敏行になりたくて上京」