共著「知っトク介護 弱った親と自分を守るお金とおトクなサービス超入門 第2版」を元にトークショーを開いたメイプル超合金の安藤なつ(撮影・村上幸将)

メイプル超合金の安藤なつ(43)が3日、都内で著書「知っトク介護 弱った親と自分を守るお金とおトクなサービス超入門 第2版」を元にトークショーを開いた。ボランティアも含め、介護職に約20年、携わり、ヘルパー2級(介護職員初任者研修)の資格に加え、23年3月には介護福祉士の資格を取得した。その経験から「家族だからやらないといけない、という考えだけはいったん、忘れてくれると、うれしい」と、プロの手を借りての介護を勧めた。

この日は、出版元のKADOKAWAのグループ社員6269人を対象に、共著した介護・暮らしジャーナリスト太田差惠子氏とともに「介護について真剣に考える」と題してトークを展開した。安藤は、母方のおじが介護施設を運営していた縁から小学1年で介護に触れた。コンビ結成から3年の2015年(平27)にM-1グランプリで決勝に進出した際は、介護職の夜勤明けで挑んだ。その後、本格的な介護の現場からは離れたが、送迎の免許を持っており、最近もおじの施設の送迎を手伝ったという。また実家の近くの事業所でも、午後9時から午前7時まで夜勤で、排せつ補助、おむつ交換安否確認など、車で移動して20軒前後の在宅介護をした経験もあるという。「(介護者の)お子さんの睡眠の、確保のために、そういうお仕事をしていました」と説明した。

2人は、介護について「介護はプロジェクト」という考え方を示した。太田氏は1963年(昭38)に153人だった100歳以上の人口が、23年は9万2000人に増え、2050年には50万人以上になるというデータを示し「親も子どもも105歳まで生きる時代」と指摘。親の介護のために離職する決断をする人も少なくないが「皆さんも、きっと100歳まで生きるのが珍しくない社会になると考えられている。生活設計が成り立たなくなる。自分の老後のお金を自分が稼がなきゃいけなくなる」とした。安藤も「(仕事を)辞めたらダメでしょ」と同意する中「介護は突然、やってきて、仕事があると、どうしようとなる。国を挙げて仕事を辞めるなと推奨している」と介護休業、介護休暇といった制度の利用を勧めた。

その上で、各地域にある地域包括支援センターの必要性、重要性を強調した。「介護保険の申請をしましょうとか、保険を使うほどじゃないけど、こういう制度を使えばいいとか…1つ、つながるとどんどん広がっていく。いろいろ相談すると思う。親が倒れたら、明日にでも電話でアポを取った方が良いと思う」と声を大にした。

安藤は、自身のキャリアを踏まえ「安全の確保を考えると、施設はいい」と、老人ホームなどに親を入所させるのも選択肢の1つだとした。「親の判断力がしっかりして、家で暮らしたいのであれば、親の人生と子どもの人生は別だから、どうこうできませんけど。火の用心だったら周囲を巻き込み、徘徊(はいかい)が頻繁に起こると命に危険が及ぶ」と続けた。

そして「ご家族の介護がたぶん、一番、気持ちというか感情を切り離せないから、大変だと思う。だから第三者を入れて欲しいというのは、そういうところ。他人だからできること、仕事だからできること…その仕事に誇りを持って、うちらはやっていたので」と訴えた。

情報提供元: 日刊スポーツ_芸能
記事名:「 安藤なつ、介護職20年の経験から「家族の介護が1番、感情を切り離せない」プロの手を借りる勧め