山本量子さん所属事務所の公式HPから

タレント山本量子(やまもと・りょうこ)さんが18日に死去した。48歳。所属事務所が21日に発表し、出演していたMBSラジオも「山量(やまりょう)さん」「明るい語り口や美しい歌声をいつまでも忘れません」とコメントした。通夜、告別式は近親者のみで終えた。昨年7月に休養、今年4月に復帰したが、再び入院療養に入っていた。

◇  ◇  

ラジオの不思議なパワーは、リスナーの生活にスッと入り込むことにある。関西の場合、長らく、名物番組を担ってきた浜村淳さんや、道上洋三さんがいる。気がつけば、浜村さんや道上さんの声が流れていた。会ったことのない人でも、その声を何度も耳にするうちに、長年の友人かのような親しみを抱くのだ。

山本量子さんの声を最初に聞いたのは、2014年だった。MBSラジオ「茶屋町ヤマヒロ会議」「こんちわコンちゃんお昼ですょ!」でヤマヒロ(山本浩之)、コンちゃん(近藤光史)というコッテリとしたパーソナリティーの相手役として登場した。その声からは明るいキャラクター、ちょっとやそっとじゃへこたれないバイタリティーが感じられた。あっという間に番組に溶け込み、リスナーから愛される存在となった。

この時点で「山量(やまりょう)」は30代後半。「ラジオが大好きで、ラジオの仕事をずっとやりたかった」と話していたとおり、水を得た魚だった。独身であることをいじられても、笑いで返す度胸とトークは無敵だった。ラジオに新たなスターが生まれた、と直感した。

前述の浜村さん、道上さんが典型だが、大阪のラジオはリスナーから長い期間、愛される。逆にいえば、新しいラジオスターが生まれるチャンスはなかなか厳しい。「ラジオの世界で活躍する女性」としてパッと思いつくのは、たとえば桜井一枝、南かおり、谷口キヨコ、宇野ひろみ、高野あさお…。いずれもこの道何十年という強者ばかり。それだけ新参者が食い込むのは簡単ではなかった。

そのなかで「山量」はしっかりと、そのポジションを固め、リスナーの支持を集めた。愛されるのは、ラジオを通じて「この人、魅力ある」「応援したくなる」と思わせるキャラクターだったから。この先、何年も(あるいは何十年も)ラジオの中で輝き続ける人だ、と勝手に信じていた。

子どものころ、同じ山本姓のクラスメートがいて「山本リ」と名前を書いたことから「山本リンダやん」と呼ばれ、愛称リンダとなった。「茶屋町ヤマヒロ会議」では、ヤマヒロのギターと山量の歌で、ユニット「ピッカリンダ」を結成。番組最後には、リクエストに応じてさまざまな歌を演奏した。なかでも「あなたに会えてよかった」(小泉今日子)は抜群にうまかった。今も、はっきりと覚えている。

全力で10年間、ラジオの世界を駆け抜けた。明るくて元気で、歌が上手だった山量ちゃん。長い闘病生活で疲れたね。遠い空の上で休んでください。多くのリスナーは、あなたのことを忘れません。【三宅 敏】

情報提供元: 日刊スポーツ_芸能
記事名:「 【評伝】10年間、全力でラジオの世界を駆け抜けた山本量子さん リスナーは忘れません