下村青さん(2022年9月撮影)

元劇団四季の俳優下村青(しもむら・あお)さんが15日に亡くなった。60歳の若さだった。

下村さんが出演した劇団四季時代の舞台はほとんど見ている。ミュージカル「キャッツ」のマンゴジェリー、「コーラスライン」のポール、「美女と野獣」のルミエール、「ライオンキング」のスカー、「エビータ」のペロン大佐と、陽気な役から敵役まで幅広かった。四季に入る前にはバトントワリングの世界選手権で3位銅メダルを獲得した経歴の持ち主で、舞台に立つと、何よりも華やかさがあった。「ジーザス・クライスト=スーパースター」のロンドン公演ではヘロド王を演じたけれど、鮮やかな隈取に派手な倶利伽羅紋姿は、ロンドンっ子の度肝を抜く迫力があった。「ハムレット」ではハムレットを演じるなど、劇団四季代表で演出家の浅利慶太さんの信頼感も厚かった。

退団後は芸名を下村尊則から下村青に変え、四季ファンだった市川猿之助に誘われて、スーパー歌舞伎2「ワンピース」「新版オグリ」などに出演した。もともと坂東玉三郎の母に日本舞踊を習っていたこともあって、歌舞伎の舞台に出ても違和感はなかった。

10月には浅利演出事務所公演のミュージカル「ユタと不思議な仲間たち」にペドロ役で出演予定だった。80年代から90年代にかけて劇団四季で同じ舞台に立った石丸幹二や栗原英雄は「公私ともに支え合った仲間でした」「今は悲しみの中にいます」と悼んだ。今年は役者生活40周年の節目の年。あまりに突然で、早い死だった。【林尚之】

情報提供元: 日刊スポーツ_芸能
記事名:「 下村青さん、60歳早すぎる死 劇団四季の舞台のみならずスーパー歌舞伎もこなす芸達者