宝塚大劇場

宝塚歌劇団の雪組トップ彩風咲奈が11日、兵庫・宝塚大劇場で、サヨナラ公演「宝塚グランドロマン『ベルサイユのばら』-フェルゼン編-」の千秋楽を迎え、本拠地に別れを告げた。

本編終了後に行われたサヨナラショーは、男役を従えた「ばらのタンゴ(ベルサイユのばら)」で幕開け。2人目相手娘役に迎えた夢白あやとの初作品「ボニー&クライド」から、「ブルース・レクエイム」に臨み、次期トップ朝美絢、夢白の次期コンビとともにパフォーマンスも展開した。

彩風は07年入団の研18(18年目)。雪組一筋で、21年4月に同組トップに就いた。最後の作品は宝塚を志すきっかけになった「ベルサイユのばら」。フランス王妃マリー・アントワネットとの許されざる恋に落ちるフェルゼンにふんした。

サヨナラショーの締めも、「ベルサイユのばら」からの「オマージュ」。男役が並ぶ大階段に黒えんびで現れ、ダンスを披露した。

最後の大階段は、正装のはかま姿。ゆっくりと階段をおり、途中で立ち止まり、満面笑みで客席を見渡した。

彩風は「宝塚大劇場に別れを告げる日がやって参りました。別れの寂しさはいつもさまよっていたはずなのに、仲間と作る舞台が楽しすぎて、あたたかく幸せな気持ちでここまでやってきました」。笑みを携え、客席を見渡してあいさつ。

「宝塚に入りたいと思い、この劇場で見ていた夢はすばらしいものでした。でも、この宝塚に入って、たくさんの出会い、強い絆を知り、私の世界は大きく広がりました。自分1人でみる景色よりも、仲間とみる景色の方がずっと広かったです」と続けた。

仲間にも目をやり「宝塚が大好きです。男役が大好きです。雪組が大好きです。苦しかったり、情けなかったりといった思いもありました。でも決して忘れたくない人たち、忘れられない思いがあります。いつも私を強くいさせてくれる。そのすべての思いを抱きしめて、今ここに立っています」と、支え合った仲間にも感謝。

客席のファンにも感極まった表情で顔を向け「まだまだかなえたい夢があります。愛するお客さまと、仲間とともに、まだ宝塚の舞台がお届けできると思うと、今もトキメキが止まりません。宝塚を愛する皆さまのために、心からの感謝を胸に舞台に立ち続けたい」と最後まで、男役としての精進を約束した。

ペンライトが揺れた客席には「私の夢がたくさんつまったサヨナラショー。願い続けたら夢がかなうんだということ、でも、そこにはたくさんの努力と、私1人では歩むことができない道がありました」。

ファンに愛され、ファンを愛した日々だと振り返り「愛する皆さまと、宝塚大劇場のこの景色を、しっかりとこの目に、この胸にやきつけたい」と目を輝かせた。サヨナラ公演作品の代表曲にひっかけて「ほんとに毎日『愛あればこそ』だな、と。宝塚はひとつ、実感する日々でございました」との思いも吐露。

本拠地最後の1日を「幸せな1日です。毎日楽しくて、卒業することも寂しさも忘れる日々でした。あの日、(宝塚入りを志して)夢見た自分をほめてあげたいなと思います」と言うと、客席から大きな拍手を浴びていた。

宝塚公演を終えると、東京宝塚劇場で8月31日~10月13日に上演。東京千秋楽をもって、約17年半に及ぶ宝塚人生に区切りをつける。

情報提供元: 日刊スポーツ_芸能
記事名:「 【宝塚】雪組トップ彩風咲奈、最後の景色「この目に、この胸にやきつけたい」本拠地に別れ