新潟での公演に張り切る久本(撮影・小林忠)

創設40年を迎えたWAHAHA本舗が、WAHAHA本舗40歳記念全体公演「シン・シンワハハ40」を開催。大阪・森ノ宮ピロティホールでの大千秋楽(12月14、15日)まで、全国16カ所27公演を回る。過激なネタが“放送禁止”となることもあるが、看板俳優の久本雅美(66)は「お客さまに喜んでいただけるならなんでもする」と言い、舞台でのNGは一切ない。記念公演に意気込む久本に、昨今のコンプラや結婚観などを聞いた。【阪口孝志】

◇  ◇  

84年に主催・演出の喰始(たべ・はじめ)、柴田理恵らと旗揚げ。「アッという間」に40年がたった。

過激で下ネタも多い。テレビでは放送禁止になるようなこともやり続けてきたのは、「見続けてくれるコアなお客さまがいる。お客さまあってこその舞台、劇団」という思いがあったから。WAHAHA本舗にしかできない独特の世界観を表現し続けてきた。

40年でコンプライアンス規制は、より強まる方向に進んだ。地上波ではおもしろいことができないと、YouTubeなど、動画配信の世界に表現の場を変える演者も増えた。

「ロケに行っても、クレームがあると『やめときましょう』ってなる。あれ、おもしろいなって思うものが『誤解されたら(どうしよう)』とバサバサ切られて、普通にしゃべってるだけになる。もったいないし、残念って思うこともあるけど、コンプラで守ってもくれてる。なんとも言えないジレンマがありますよ」

昔は笑い話だった“武勇伝”の類いの話は「今じゃ捕まる」。番組のMCをしていても、気を使ってしゃべりが鈍くなることもあるというが「良い悪いは別。まともな世の中にはなったんでしょうけどね」。

時代に合わせて表現の仕方を変化しながら「舞台は自分たちの世界なので、イエスかノーかは来てくださった人たちが決めてくれる。舞台は舞台の世界観なので、コンプラは気にしてない」。変化が悪いことではないし、やりたいことは貫いている。

久本は独身であることをたびたびネタにしているが、40年で恋愛を取り巻く環境も変わった。芸能界入りしたころは、「結婚したら人気がなくなる」という時代だった。

お笑いを真剣にやろうと思い「10年間は恋愛はやらんとこかと思った時期がありました。結婚願望もなかったし、どうしても、おもろなりたかったから」。恋愛と仕事、どちらを取るかと言われれば「100%仕事!」と芸に打ち込んだ。

ただ、「結婚はしない主義」と決めつけているわけでもない。

「80歳になってもまだ言うてるかもしれへん。人生分からないから、絶対結婚しませんっていう主義ではないんですよ。かといって、あこがれてるかと言われると分からないとしか言えない。言えることは今は誰もいないってだけ」

実際には、写真週刊誌に「久本雅美『合い鍵お泊まり 熱愛』」と報じられたこともあった。

「50代のころ…15年くらい前かな。お付き合いしてましたよ。でも、価値観が違ったのでお別れしました」

66年の人生で結婚という未知の世界があるだけのことで、自然に身を任せている。

「以前、黒柳徹子さんの徹子の部屋に出たときに、『結婚願望あります』って話したら、徹子さんも『私も!』っておっしゃって。かっこええなと思いましたよ。したくないならそれでいい。その人の生き方。私はしたくないとは1ミリも言ったことない。どこでどうなるか分からないし、人生のサプライズとして楽しみにしとこうって」

今後はひとり芝居もやってみたいという。コメディエンヌとして「『久本と言えばこれ』というお笑い女優としての作品を残したい」。40周年は通過点に過ぎない。

    ◇    ◇  

◆久本雅美(ひさもと・まさみ)1958年(昭33)7月9日生まれ、大阪市出身。81年、劇団「ヴォードビルショー」に入団。84年6月、劇団のメンバーだった柴田理恵らとWAHAHA本舗の結成に参加。85年「今夜は最高!」へのレギュラー出演を皮切りに、テレビのバラエティーへも進出し、活躍。日本テレビ系「秘密のケンミンショー極」などに出演中。血液型A。

情報提供元: 日刊スポーツ_芸能
記事名:「 久本雅美「お笑い女優としての作品を」…WAHAHA本舗創設40年、NG一切なし