映画「悪は存在しない」初日舞台あいさつに登壇した、左から渋谷采郁、小坂竜士、大美賀均、西川玲、濱口竜介監督(撮影・村上幸将)

23年9月のベネチア映画祭(イタリア)で審査員グランプリ(銀獅子賞)を受賞した、濱口竜介監督(45)の映画「悪は存在しない」の初日舞台あいさつが26日、都内のBunkamuraル・シネマ渋谷宮下で行われた。

同監督は、シナリオハンティング時のドライバーとしての参加から主演に抜てきした大美賀均(35)について「戦隊もののレッドの位置も、できちゃうんだな、と」と評した。

「悪は存在しない」は、21年のカンヌ映画祭(フランス)で邦画初の脚本賞、22年に米アカデミー賞が国際長編映画賞を受賞した、濱口監督の前作「ドライブ・マイ・カー」で音楽を担当した石橋英子氏が、ライブパフォーマンスのための映像を依頼。同監督が快諾したことで、2人による共同企画「音楽×映像」プロジェクトがスタート。その音楽ライブ用の映像を制作する過程で、106分の長編劇映画として完成した。

大美賀は劇中で、村に長く住んで何でも屋を営み、娘の花(西川玲)と自然のサイクルに従い、質素ながらも豊かに暮らす巧を演じた。濱口監督は脚本の初稿を書く前に、大美賀と撮影の北川喜雄氏を交えた3人で一緒にドライブしてシナリオハンティングを行った。大美賀の本業は、21年にベルリン映画祭(ドイツ)審査員大賞(銀熊賞)を受賞した濱口監督の「偶然と想像」を構成する1、3話で製作を担当した映画製作者で、シナリオハンティングにはドライバーとして参加した。同監督は「カメラの前に立ってもらうと、いいかも? と思って、ここまで来た。見る目はあったなと。この人、結局…何か、ずぶといんだなと」と、大美賀を主演に抜てきした第1段階を明かした。

大美賀は「スタートはドライバーで…最初は僕が参加できない時期だった。濱口組に参加したいなと思って(タイミングが)ズレてドライバーで呼んでもらった。良かったと思い、北川さんと長野のロケ地を2回、回った」と濱口組への参加の経緯を説明。「(シナリオハンティングから)帰ってきてから、濱口さんから連絡があり『驚かないでください』と。やらかしたかな? と思ったら『出る側に興味はありませんか?』と」と、オファーを受けた当時を振り返った。

濱口監督は「考えるかな…と思ったら『やります』と。決まったのは、ありがたかった。この人、結構、肝が据わった人だなと」と、大美賀が主演を即決したと明かした。一方、大美賀は「さすがに、即答できなくて『そうですか…』と言った」と言いつつ「濱口さんが1、2分、説得して本気が伝わってきた」と即決ではなかったものの、早い段階で主演を決意したと笑いながら振り返った。濱口監督は「意外と本気でした」と笑みを返した。

◆「悪は存在しない」 巧(大美賀)と娘の花(西川玲)は、地方の村で自然のサイクルに従い、質素ながらも豊かに暮らしていた。ある日、芸能事務所が村にグランピング施設の建設を予定していると知り、巧も含めた村民らは、東京から来た男女のプロジェクト担当者(小坂竜士、渋谷采郁)が開いた説明会に参加した。その中で村の自然、村民の生活を破壊しかねない強引な計画だったことが判明し、説明会は物別れに終わる。プロジェクト側は、村民との仲介役として巧に目をつけ、村を再訪して巧と交流していくが、そのことが巧と花の親子の暮らしにも影響を与え始める。

情報提供元: 日刊スポーツ_芸能
記事名:「 濱口竜介監督「悪は存在しない」運転手から主演の大美賀均は「戦隊もののレッドもできちゃう」