- 週間ランキング
ぜひ目次から気になった作品へ飛んでみてください!
峰倉先生の代表作といえばまずこれ。
『最遊記』は中国の古典、『西遊記』を大胆にアレンジした漫画。
初出は1997年「月刊Gファンタジー」。
三蔵法師率いる男所帯一行が天竺を目指し、龍が擬態したジープを駆って旅する本作は、従来の『西遊記』に新機軸を打ち出す無国籍風の世界観や、敵味方問わず魅力的なキャラクターでもって読者の心を掴みました。
自他ともに認める生臭俺様坊主・玄奘三蔵、食欲旺盛元気じるしの野生児・孫悟空、片眼鏡と敬語がうさんくさい調停役の猪八戒、エロ河童改めヤリチンナンパ師・沙悟浄etc……。
暇さえあれば喧嘩に明け暮れるイケメン4人組の珍道中とバトルが見所で、少年漫画の王道を行く、痛快な冒険活劇が楽しめました。
峰倉先生おなじみ、男子校ノリ全開下ネタトークも必見!
アニメ放映時は保志総一朗さん、関俊彦さん、平田広明さん、石田彰さんら、実力派キャストによる熱演で人気沸騰しました。
続いて紹介するのは2002年「Chara」初出、『私立荒磯高等学校生徒会執行部』。
授業態度は不真面目だが何故か学年トップの秀才・久保田誠人と、フィジカル特化の相棒・時任稔が束ねる生徒会執行部のモットーは、「暴力は十倍返し カツアゲには更なる脅迫を」。
時にバイオレンスに、時にコメディタッチに描かれる荒磯高校の日常は大層賑やか。
トラブルシュータ―と問題児を股にかけた執行部のイロモノたちにまざり、思いきり大暴れ……もとい青春したくなります!
BL漫画誌掲載作ですが、久保田と時任に体の関係はありません。
2人に関してはバディ面の活躍が強調され、BLに免疫のない女子も読みやすい、からっと明るい話に仕上がっています。
その一方で「おっと……?」と妄想はかどる匂わせもあり、先輩後輩カーストや、久保田と時任のスキンシップに萌えてしまったり。
かずはじめ先生の『明稜帝 梧桐勢十郎』好きにはおすすめです。
2000年「Chara」初出の『WILD ADAPTER』は、1990年代の横浜に蔓延するドラッグ「W.A」の謎を追い、裏社会を奔走する少年たちに焦点を当てたサスペンス。
別作品にキャラを引き継ぐスターシステムが導入されており、『私立荒磯高等学校生徒会執行部』に登場した久保田と時任が、全く異なる設定で主役を張っています。
『WILD ADAPTER』の久保田は暴力団の大物の息子、時任は記憶喪失の身元不明少年。
読み比べると二倍おいしいですね。
政治家・ヤクザ・警察の思惑が錯綜し常に駆け引きが行われるハードな世界観、裏切りや抗争が原因で多くが命を落とすシリアス展開、久保田と時任が背負ったヘヴィすぎる過去は目が離せない面白さ!
大切な人を助ける為ならヤクザ事務所壊滅すら辞さない久保田は些か愛が重いヤンデレ、片や時任は少年漫画の主人公的真っ当さを貫く圧倒的光属性。
考え方や性格は真逆ながら、互いの欠落を補い合い、精神的支柱と恃む関係にぐっときませんか?
暴力と復讐の連鎖のはてに2人を待ち受ける「W.A」の真実を、ぜひとも目に焼き付けてください。
2008年『月刊ステンシル』初出の『BUS GAMER』はスリーオンスリーのデスゲームもの。
ビズゲームとは大企業に雇われた持ち駒各3名から成る両チームが、守備担当のHOMEと奪取目的のAWAYに分かれて繰り広げる、機密文書争奪戦。
優勝者は3億の巨額の賞金が手に入るとあり、凶悪犯罪者まで駆り出されるデンジャーな遊戯です。
チームAAA所属の美柴鴇・中条伸人・斉藤一雄の友情、大金を必要とするに至った事情の闇深さ、たびたび差し挟まれる強烈なフラッシュバック演出も、殺伐としたストーリーを加速させる要因となっていますよ。
ふぞろいな寄せ集めでしかなかったチームAAAが、数々のピンチを乗り越えて確固たる信頼で結ばれ、ビズゲームの黒幕に挑むクライマックスは最高に熱いです……!
2011年「ゼロサムWARD」初出の『蜂の巣』は、首都を襲った震災以降治安が悪化し、死体の臓器を盗む「臓器荒らし」が横行する近未来の話。
山崎祐介と陣内馨の年の差バディが、臓器荒らしに先んじて死体を護送し、遺族に別れの時間を与える葬迎員として働く姿を追います。
峰倉先生が描く、渋くてどこか影のある「やれやれ」系おっさん好きは必読!
愛娘に先立たれた陣内が醸し出す悲哀と悔恨、社会不適合者の山崎と築いた先輩後輩の絆にぐっときます。
『PSYCHO-PASS』の狡噛慎也と征陸智己の関係や、あずみきし先生の『死役所』にハマった人には特におすすめ。
社会の歪みがもたらす不条理や個々人の死生観に切り込んだが故のビターな後味と、考えさせられる結末が格別でした。
安楽死や自殺の是非が問われる、現代だからこそ読んでほしい作品です。
無気力男と生意気ショタの巡礼の旅に惹かれる方は、2000年「月刊ウィングス」初出の『
本作は記憶喪失の男・ストークと、空から落ちてきた不思議な少年・ティトの出会いから始まるファンタジー。
絶滅したはずの鳥をひたむきに探し求めるティトの純粋さが、ストークの魂に根差す虚無を癒していくストーリーは、哲学的なモノローグと相俟って終末の寓話のような趣。
ティトを執拗に追ってくる死神の正体やティト自身が抱えた大きな秘密も、最後まで興味を引っ張ってくれました。
美しいカラーページが織り成す、退廃的な世界に浸りたい方はぜひ手に取ってください。
峰倉先生10代当時のデビュー作。2008年に徳間書店より新装版が発売されました。
熱血漢の柔道部主将・関根とルームメイトの美形小説家・小堺の攻防を軸にした作品で、BLになりそうでならない絶妙のバランス感覚や、寸止めテクが癖になります。
関根に片想いする柔道部の後輩・麻衣子もパワフル一途で可愛らしく、男と女が男を取り合って予想外の方向に転がっていく三角関係の行方と、「そんなのアリ!?」なオチに吹き出してしまいました。
峰倉先生が描く元気一杯な女の子キャラを推している方、ニアBLな両(片)想いカップルが好きな方におすすめです。
不良高校生の弟・近藤正彦と6歳上の保育士の兄・芳夫。
お互い超ブラコンな2人が織り成す日常を描いたほんのりBL風味な作品で、峰倉かずや先生曰く「ほのぼのコメディ」に当てはまるそうです。
後期の作風からは想像できないアットホームな作品ゆえに、暴力描写が苦手な方でも安心して読めるのがポイント。
園児の世話の傍ら喧嘩っ早い弟の身をハラハラ案じる芳夫と、兄に近付くフラチな輩を返り討ちにせんと息巻く正彦の、ドタバタしたすれ違いも見所。
無自覚ラブラブバカップルな2人に「ごちそうさま」と言いたくなります。
以上、峰倉かずや先生のおすすめ作品をチャートで紹介しました。
アニメ化された『最遊記』以外にも面白い漫画がたくさんあるので、気になった方はぜひ読んでみてください。
限りなくBLに近い、されどBLよりストイックな、男同士の絆の虜になりますよ。