念願叶った鳥獣戯画アニメ化に満面の笑みの鈴木敏夫氏


 スタジオジブリのプロデューサー、鈴木敏夫(67)が15日、都内で行われた「丸紅新電力」CM&料金プラン発表会に出席し、丸紅新電力株式会社代表取締役社長・福田知史氏とトークセッションを行った。


 スタジオブリは、4月1日より家庭・小規模事業者などの低圧需要家向け電力小売りサービスをスタートさせる丸紅新電力の企業CMを制作した。イベントでお披露目されたCMは、国宝として京都・高山寺に伝わる絵本墨画の絵巻物・鳥獣戯画のアニメーションで、ウサギとカエルが葉っぱの傘で仲良く雨をしのぐ姿を描写。音楽をピアニストの辻井伸行が担当し、ラストの「丸紅新電力」というナレーションを鈴木本人が務めている。


 鈴木は、「いつの日か鳥獣戯画を動かしてみたい」という思いを持ったそうで、これまでにいくつもの会社に掛け合うも、ことごとくとん挫するという苦い思いをしてきたという。そんな中、丸紅新電力からCMのオファーを受けて鳥獣戯画を使用することを快諾してもらったといい、「こういう機会を与えていただいた丸紅さんに大きな感謝しております」と、笑顔を見せた。福田氏も仕上がったCMに感激しきりだったが、当初はジブリ作品の特徴でもある森の画をイメージしていたことを打ち明けた。


 しかし、鈴木の熱意から、「これは鳥獣戯画しかやらないな」と察し、「丸紅と鳥獣戯画の関係を無理やりにでも結びつける必要がありました」と、吐露。その結果、「昔のものを取り入れながらも新しいことをやっていくという丸紅の姿を、(歴史ある)鳥獣戯画を(現代の技術を用いた)アニメに表すことで何とか収めました」と、本音を覗かせて会場の笑いを誘った。



 辻井の起用について鈴木は、自身が辻井の曲を大のお気に入りというのが最大の理由だそうで、「会いたいなというのが動機です(笑)」と、茶化すように話すが、もちろんそれだけではない。鈴木は辻井の最大の特徴でもある「ピアノが鳴り始めたとたんに聴いている人を緊張させるところ」を挙げながら、「そこが好きなんです。耳にした人がなんとなくの流れで聴くんじゃなくて、テレビの方を見るんじゃないかと考えました」と、説明。


硬い握手を交わす福田社長(左)と鈴木氏(右)


 さらに「濃い感じの恋愛もの」、「コミカルなもの」の2曲を辻井に作ってもらったそうだが、鈴木が気に入ったコミカル版を採用したいう。


 この日は、スタジオジブリとのタイアップにより、丸紅新電力が先ごろ発表したスタンダードプラン(プランS)に加えて用意した、スタジオジブリとタイアップした特別料金プラン(プランG)も発表。これは電気料金の一部を森と緑の保全活動に充当することを通じて、利用者、スタジオジブリ、丸紅新電力が日本の原風景を未来に残していく活動を支援するというもの。


 具体的には、三鷹の森ジブリ美術館に電力を供給するとともにその活動を支援。トトロの森のナショナルトラスト活動を支援するというもので、加入者にはスタジオジブリ監修のオリジナル一輪挿しがプレゼントされる。ちなみに「G」とは、ジブリの「G」とグリーンの「G」から取ったそうだが、鈴木は「本当は(ジブリのGとして)使われるのは嫌だったんですよ(笑)」とボヤいてみせる。ところが、「自分が思ったことは必ず実現する」という福田氏の手腕に折れたとか。また、ジブリ美術館への電気の供給について、鈴木は宮崎駿が「そりゃいい会社だ!」と喜んでいたことも明かした。


 最後に鈴木は宮崎の話題にも触れて、「スタジオジブリは引退しましたが、実は毎日定時に会社に来て、美術館用の短編を作っています」と、報告。鈴木自身は、「押井守監督の『GARMWARS ガルム・ウォーズ』(5月20日公開)の日本語版を作って世に出すべく頑張っています」と、意気込んだ。


 そして、スタジオジブリがフランスの映画会社ワイルドバンチと共同製作したアニメ映画『レッドタートル THE RED TURTLE』について、「気づいたら足掛け10年。3月3日に初号試写をやって、今年9月に公開するのでよろしくお願いします」と、アピールも忘れなかった。


 


お馴染みの作務衣姿で登場した鈴木敏夫氏


辻井伸行起用理由を説明する鈴木氏


丸紅新電力株式会社の福田知史代表取締役社長


トークで盛り上がる








情報提供元: News Lounge