人生の岐路に立った時、誰もが迷いの先にある不確かな道を進んでいきます。その選択には、自分だけの信念、道しるべがあります。サイト「道しるべ」では、社会のリーダーとして活躍する人々を紹介。歩んできた歴史や、その信念をインタビューで紐解いていきます。

今回、その「道しるべ」に、「笠間税務会計事務所」代表・笠間浩明さんが登場。公認会計士、税理士として活躍する自身の仕事について語っています。

私の道しるべ

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笠間税務会計事務所代表・笠間浩明さんインタビュー

企業再生の専門家

笠間浩明さん(以下、笠間)「私の事業は基本的には税務・会計事務所ですから、企業さんの会計ですとか、税務の仕事をお手伝いする業務となります。特徴としましては『企業の再生』というのをテーマとして、コンサルティング業務をしておりまして、それがメインの業務となります。経営者の気持ちの動きとか、そういうことを考えて判断するというのは実は意外に難しいんですね。それは事業を実際にやっていた人でないと、なかなか分からないこだわりみたいなものもありますので。私は家が商売をやっていて、会計士の資格を取ってから何年か実家の仕事を手伝っていたということもあるので、経営者の方が何をこだわっているのか、何を問題としているのか、といったことを経験がない方に比べれば良く分かるんではないかなと思っています。」

家業の立て直しへ

埼玉県で卸売業を営んでいた父のもとに生まれた笠間さん。会計士の仕事に就き、やりがいを感じていたころ、ふと家業の経営状況に興味を抱いたことが転機となります。

笠間「酷い財務状況に目を疑いました。しかし、自分が入って財務のところだけでも立て直しをできれば、何とか商売自体はやっていけるんじゃないかと思い、実家の仕事を手伝うことにしました。」

立ち行かない企業再生

家業の財務改善に着手した笠間さん。事業の統廃合やコスト削減やなどにより改善は進みましたが、多額の借入金が足を引っ張り資金繰りは常にひっ迫。頭を悩ませる日々が続きました。

笠間「苦しい会社の資金繰りをやっていた人には多分分かってもらえると思うんですけど、寝てると夢に見るんですよ。資金繰りをしている夢を見るんです。あまりにもリアルなので目が覚めちゃうんですよ。それで気になって実際に計算したりして。最終的には売却できる事業は売却して、最後は弁護士さんに預けて事業を清算するということになりました。」

自らの経験を糧にして

笠間「会社をやっている時というのは他のことは何も考えられなくて、若干うつ状態だったなと今にしてみれば思います。結局、ある日突然そういうことが終わって、その時はものすごい開放感があってですね、これで何でもやれるなという気分になりました。会計事務所で経験したところで、やっぱり会社の実務的なところというのは全然分からないものだなと思って、経営者の方に何とかノウハウを伝えられたらいいなと。そういった想いから、いわゆる企業のコンサルティングみたいなものを中心にやっていこうと思い会計事務所を起業したということになりますね。」

時間をかけて見事に事業再生 

笠間「西の方の建設屋さんなんですけど、そこも毎月資金繰りが大変な所だったのですが、とにかく少しずつでも収益を改善しながら粘りに粘っていたら、銀行の方が債務を圧縮させて再生させる会社に選んでくれたんです。今は債務を圧縮して見事に再生できました。あれは私が関与してから3年から4年ぐらいかかっているんですけど、社長が厳しい状況を何年も我慢し、何よりも収益改善ができたからこそ、上手くいきました。簡単に債務を圧縮できると思っている経営者の方も多いのですが、現実には上手く行くまで時間がかかりますし、財務以前の事業自体の立て直しが重要です。」

笠間浩明の道しるべ

笠間「私にとっての道しるべは、『役に立たない経験は無い』ということです。どんな経験であっても、無駄だと思って手を抜かずに、きちんとやっていくという事が次につながるための事だと思っています。特に若い方に言いたいのは、一つひとつのことを全力でやって欲しいと、そういう風に思っていますね。」 

情報提供元: マガジンサミット
記事名:「 「役に立たない経験は無い」笠間税務会計事務所代表・笠間浩明氏が語る“私の道しるべ”とは