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文部科学省「教職員等の指導体制の在り方に関する懇談会提言」(平成27年8月26日)によると、現在の子ども達の65%は大学卒業時に“今は存在しない新しい職業に就く”とされ、今後10~20年で雇用者の47%の仕事が自動化されると予測されています。
将来の変化を予測することが困難な時代を生きる子ども達には、受け身で対処するのではなく、自ら課題を発見し、他者と共働しながら新しい知・価値を創造する力を育成することが課題です。
ボーイスカウト連盟がスカウトの保護者らに行った「子どもに身につけて欲しいと思うこと」というアンケート調査(回答数9153)でも、「自ら判断する力」がもっとも多く、以下「考える力」「チャレンジ精神」「コミュニケーション能力」と続き、またその方法として「体験を通して学ぶ」「仲間の一員となる喜びを味わう」ことが有効ではないかと回答しています。
では、それらの能力をどのように身につけたら良いのでしょうか。例えば、今回、会場となった「キッザニア東京」では、「エデュテインメント」(エデュケーション×エンターテインメント)というコンセプトのもと、楽しみながらさまざまな職業を体験し社会の仕組みを学ぶことができます。
「キッザニア東京」は、世界20ヵ国 28ヵ所に展開する「KidZania」の日本第1号施設として2006年にオープンし、「ワーキングホリデー」や「ハイスクール・インターンシップ」など海外のキッザニアと連携した展開も行っており、これらの試みはスカウト教育法のひとつ“行うことによって学ぶ”と一致するところでもあります。
しかし、現在はコロナ禍で外出も思うようにできず、子ども達の体験学習や集団行動も制限を設けるなど自由に行うことが難しい状況です。「キッザニア東京」をはじめ多くの施設が十分な感染対策に取り組むなか、ボーイスカウト日本連盟でも「ボーイスカウトと遊ぼう! ワクワク自然体験あそび」を開催しています。
文部科学省から委託を受け、2020年秋から2021年3月の期間に全国およそ850会場で開開催している「ボーイスカウトと遊ぼう! ワクワク自然体験あそび」は、子どもたちの屋外活動の減少や未知の感染症への不安の高まりを考慮し、各地の感染状況や感染防止に十分留意した上で、自然の中での体験活動を全国的に展開するもの。
各県の連盟師団で「空き缶ご飯つくり」や「親子デイキャンプ」などの催しを計画。準備体操から始まり、フィールドゲームやドッチボール大会、ダッチオーブンを利用してのピザ作り、空き缶でのご飯つくり、ザリガニ釣りなどさまざまな野外活動を保護者やスカウト達とともに体験します。
怖がりながらも初めてマッチを使った女子や、ザリガニ釣りに挑戦した男子、そして「自分で作ったピザやご飯は美味しい!」と目を輝かせる子ども達の姿が垣間見えるそうで、多くの時間を自宅で過ごさざるを得ない子ども達にとって、新しい経験を楽しむとともに、自然のなかで身体を動かす良い機会にもなっているようです。
ガールスカウト日本連盟の公認ガールスカウトトレイナー西城氏は「苦心しながら自らの力で達成した喜びは大きく、深い気づきに繋がる。例え失敗したとしても挑戦し成功させたことで、自己肯定感をうみ自信につながる」とし、スカウトの活動はその体験を与えてくれる場と話します。
また、本フォーラムにオンライン出演した甲斐知彦氏(関西学院大学 人間福祉部 人間学科教授)は、「人の成長は体験70%、フィードバック20%、読書・研修10%の割合で決まる」(lombardo &eichinger)という米国のリーダーシップ育成論「7・2・1の法則」を紹介し、“体験”は学問を学ぶことと同じように大切なことだとコメント。子どもだけでなく大人も、自ら体験することで、気づきや新しい価値を体得する大切さを伝えました。
今回の『全国こども体験フォーラム2021』の詳細は、https://www.scout.or.jp/ 、および「キッザニア東京」https://www.kidzania.jp/tokyo/ まで。