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いくら世の中が新様式になっても、無くならないのは会議でしょう。オフラインがオンラインに変わっただけで、人が集まり何かを考え出すという作業は永遠のルーティーンワークなのかもしれません。
そんな会議の課題といえば、アイディアの枯渇、議題の煮詰まり、沈黙 ......。そんな悩みを解決してくれそうな新ツールがこの度登場しました。一体どんなものなのか、10月21日(水)~23日(金)に東京ビッグサイトで開催された大規模国際総合展「コンテンツ東京2020」に出展された様子をリポートします。
その新ツールの名は「Inspiration Wall」。ミーティング中の会話をAIが自動的に分析し、インスピレーションにつながる画像やキーワードをピックアップし、スクリーン上に表示させるアイディア支援ツール......とのことですが、聞いただけではさっぱりイメージがわきません。開発した株式会社BIRDMANの築地ROY良代表に実演してもらいました。
さて、後はいつものように会議を行うだけ。卓上のマイクで読み取られた会話が、音声認識機能によりスクリーンの下に小さくテキスト表示されます。しかしスクリーンの大部分には、一見脈絡の無い写真やキーワードが一つのまとまりとして映しだされ、川のように右から左に流れて消えていくだけ。一体これのどこが発想支援なのでしょうか。
しばらくすると、フロー画面の上流に音楽家のバッハの肖像画が出てきました。「なぜバッハ?」と会場の誰かが口にします。さらに画面をよく見ると、バッハの写真の上に「オリンピック」の文字。そして陸上競技とおぼしき写真の数々がまとまって表示されています。
「なるほど、そっちのバッハね!」
にわかに会場が沸きました。オリンピックといえば普通はIOCのバッハ会長を思い出しますが、AIは同じバッハでも音楽家のバッハの肖像画を表示したのです。
「これがこのシステムの特徴です。会話にオリンピックという言葉が出た時に、直接関係するワードだけ出てもインスピレーションを受けません。あえて少しずれたワードを表示することで、『そっちのバッハね!』『バッハ会長と音楽家のバッハをかけ合わせたら面白い企画ができるかも』という発想の転換が生まれるのです」
会話中のどんな言葉をピックアップして、どんなワードを表示するかは独自のアルゴリズムに依っているそうです。試しに「三菱重工」と発言してみたが、AIは「三菱」だけを採用し、「重工」は関連ワードとして表示させました。このさじ加減が肝といえそうです。
将来的には芸術、スポーツといったタグ付けをし、それらに関連したワードをより多く表示する機能も検討しているそうです。なお写真は民間のフォトストックやネットニュースサイトと提携。常にインターネット上の新鮮なトレンド情報とリンクしているので、同じ議題でも会議ごとに表示される画像やワードは異なる。
「これを作ったのは、会議の時に皆がずっとパソコンでカタカタとキーワード検索しているのを見て『ちゃんと顔を見て会話しようよ』と思ったのがきっかです。そして会話の内容が壁に流れたら面白いよねというところから始まり、さらに面白いキーワードやビジュアルが出てきたら......という流れです」
他にもいたれりつくせりの機能が盛りだくさんだ。例えば、しばらく無言が続くとAIが検知して、それまでに出てきたキーワードを振り返り、盛り上がり度をグラフで表示してくる。
使用シーンとしては、会社の企画会議の他、空港や道の駅など公共の場に設置することも想定されている。例えば「お腹空いたよね」という言葉を拾い、画面に近隣のレストランの情報を表示するなどといったことも可能だそうです。
当システムのローンチは11月中。使用料金は月額2万5,000円を予定しています。クラウドサービスなので基本的にパソコンと会議用の卓上マイク、そしてネット環境があればすぐに利用できます。ZOOMなどのオンライン会議システムでも、共有機能を用いることで使用できるそうです。
そうそう、最後に大事な機能をもう一つご紹介します。このツール、会議の終了時間を自由に設定できます。時間が近づくと自動的に会話の内容をカテゴライズしてまとめ、 〈もうすぐ終了です〉 と教えてくれるのです。会議が無駄にダラダラ長い会社は、これだけで効率化が進みそうですね。
なお、渋谷駅直結・直上の共創施設「SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)」にて10月26日(月)より試験的に運用されています。興味のある方は、足を運んでみてはいがでしょう。
nspiration Wall
http://inspirationwall.ai/