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新型コロナウイルスが流行し、世界中のM&A活動にも大きな影響が出ています。しかし、日本市場を見てみると2020年第一四半期の案件数は112件で、昨年の平均案件数109件を上回る結果に。案件の総額は130億ドルで、前年同期比55%増。好調の要因や第二四半期以降の予測について、シティグループ証券株式会社投資銀行総括本部M&A本部長の安久芳伸氏、マージャーマーケットアジアパシフィックエディター日本支局長の水田麻衣氏、Datesite日本責任者の清水洋一郎氏が5月20日、オンラインで対談しました。
出典:マージャーマーケット
安久氏は日本市場に第一四半期のおける数値について「2020年はM&A活動が活発化すると予測されていた。コロナウイルス流行前に大型案件に牽引されたことが要因」と指摘。また、「日本企業は多くのキャッシュを持っており、市場の流動性も高まっている。今後のビジネスチャンスに期待が持てる」としました。
安久芳伸氏
水田氏からコロナ危機が去った後の展開について聞かれると「多くの企業がM&Aに積極的だったが、今後は保守的になるのでは」としながら「M&Aの規制を受ける中国企業に対し、日本企業は規制を受けない優位な立場にある」と話しました。
水田麻衣氏
一方、清水氏は「グローバルでみると3月はマイナスだが4月、5月は回復傾向。今後は日本も含めて上昇するのでは」と予想。「財務状況の良い企業が活発に動いており特にヘルスケア、IT、電気といった業界がアクティブになっている」と述べました。
清水洋一郎氏
コロナウイルスの影響でテレワークが推進されている日本企業。「このような状況下でどのような取引がされるのか」と水田氏が問うと「ビデオやオーディオで議論している。これまでは対面以外の取引は難しかったが、今では多くの人がバーチャルにおける取引の準備ができている」と安久氏。バーチャル取引は効率的な反面、セキュリティが懸念されます。清水氏は「データの取り扱いには十分注意しなければならない。サンドボックスを今まで以上に使用し、手動の仕事を減らすこと。また、アウトリーチなどのM&AマーケティングツールがEメールに替わり多用されるのでは」と語りました。
世界経済に深刻なダメージを与えている新型コロナウイルスですが、日本市場におけるM&Aは前向きな動きのようです。全国で緊急事態宣言が解除され、通常営業が再開される日も近いでしょう。しかし安久氏は「解除されても国際的な活動は制限される」と言及。日本企業には、適切な時期に適切なお金を動かすマネジメント力が求められます。