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官能小説に興味を持つ若い女性が増えているそうだ ――――― 。
人気のシンガーソングライター・あいみょんが「作詞のヒントとして官能小説を読んでいる」とテレビで話したことがきっかけ、らしい。
4月5日放送のテレビ朝日「タモリ倶楽部」に登場したあいみょんは、初めて官能小説を買ったのは17歳の時で「古本屋で雑誌のBRUTUSと一緒に隠しながらレジに持って行った(笑)」とエピソードを明かした。その時に購入したのは、神崎京介の「滴」という作品だったそうだ。
また、NHK「SONGS」では、古本屋の官能小説の棚を前に「官能小説の魅力は?」と聞かれて、
「最初は表現方法に惹かれたんです。いかにいやらしさを保ちつつ、でも直接的じゃなくて美しくものを例えるかという。そこが表現として凄いなって思いますね」と話した。手にした一冊は宇能鴻一郎(芥川賞受賞者)の『あつい夜』。その場で
「主人たら、弱すぎるんです。それとも、あたしが、ツヨすぎるのかしら。ツヨイ、弱い、なんて、なんだかおスモウみたいで、おかしい。だけど、おスモウにちがいないんです。」
と一節を読んであいみょんは“ふふふ”と笑った。
あいみょんが官能小説に強く影響されて作った楽曲に「いいことしましょ」「満月の月なら」などを挙げている。
世の中にある曲の歌詞には、「〇〇のような」などと“例え”るものが多々ある。
官能小説では、男と女の思考感情やそして行為を、直接的な単語をあまり使わずいろいろな比喩や難しいけど色っぽい慣用句、オノマトペなどを巧みに使い、そして細かく長々と際どく、時に思わぬ題材(虫とか)を用いるなどもして表現する。“例え”のバリエーションが溢れるほど詰まった、いわば表現の参考書とでもいうべきか。
音楽では愛を伝える曲は多いので、作詞する際、決してエロい方向に繋げることはなくても、言い回しやニュアンスなどのヒントはふんだんにもらえるように思う。あいみょんは凄いところに目をつけたなと感心してしまった。
書店での官能小説の扱いは控えめ。一般的な書籍のように平積みでセールスされるのもなかなかないジャンルだし、しかも書店によっては置いていない場合もある。興味があっても特に女性はなかなか手に取って物色もしにくいものだ。
そこで、読んでみたい、という女性へ。実は案外身近なところに官能な読み物はオープンになっている。手っ取り早いところで言うと「スポーツ新聞のアダルト面」。ページの一角に躰の挿絵とセットで綴られたエロ読み物があるはず。これがオーソドックスな官能小説読み物といっていいはず。読者対象が男なので話は男目線で展開するのが普通だ。
また、案外気づかれないのが「女性週刊誌」などの女性向け雑誌、実はファッション誌にも掲載されていることもある。これも読者層に応え、主婦の目線や若い女性の目線で描かれている。
もっと貪欲に楽しみたいなら、“フランス書院文庫”で検索してみれば、かなりな王道路線の作品を物色できるはず。
もうちょっとソフト路線から始めてみたいなら、無料のケータイ官能小説を楽しめるサイトもある。
書籍で検索するなら「ケータイ小説文庫」「魔法のiらんど文庫」「ピンキー文庫」などから探してみるといい。数が多いのでどんな内容か詳細まで紹介されていない場合が多いが、あいみょんのように表紙の絵やタイトルで運命の一冊を選ぶのも面白いと思う。
男でも、なかなか官能小説を買って読む人は多くない。ただ、裸体を写したエロ本やアダルトDVDなど直接的なエロよりも、想像力を掻き立てられて興奮するのでハマるとか。
「週刊新潮」では毎年「女による女のためのR―18文学賞」というコンテストを行っているが、5月号で第18回目の受賞作が発表された。
大賞「月吹友香(つぶきともか)『赤い星々は沈まない』」
年をとっても女は女、性欲を隠さない老女を前にミサは・・・
読者賞「小沼朗葉(こぬまあきは)『おまじない』」
お昼休み、同僚から漏れる謎の音がどうしても気になって・・・
友近賞(※芸人の友近)「千加野あい(ちかのあい)『どうしようもなくさみしい夜に』」
風俗嬢の母に育てられた僕。その胸中はやっぱり複雑で・・・
目次に添えられたキャプションが艶めかしい。この3作、むき出しのエロを描いた官能小説とはちょっと違い、人生の背景にエロ要素が絡み合った「小説」という感じ。やはり女性が読むほうが感性として合う気がする。
近年は女性の官能小説家も増えているため、女性目線の官能の世界を描いた作品も増えている。プライベートに活かすことも自由である。