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同社のベビー・育児領域部門を強化するメインプロジェクトとなる見通しで、代表取締役社長の江崎勝久氏は「2019年は創業者の江崎利一氏がグリコーゲンを発見してから100年という節目の年。創業当時の理念 “子どものココロとカラダの健やかな成長”への想いをカタチに変えて、次の100年を視野にした新事業の柱としたい」としています。
写真左より)吉沢豊予子教授 江崎勝久社長 宮崎友恵プロジェクトリーダー
『Co育てPROJECT』はCoparenting(共同育児)の思想に基づき、主に【商品の開発】【サービス】【産官連携】の3つを中心に展開。日本初の乳児用液体ミルクの発売をはじめとするベビー・育児商品群の強化や、スマートフォン向けCo 育てコミュニケーションアプリ「こぺ」のサービス提供開始。東北大学と連携し子育てプログラムを開発・研究をしてゆきます。
ユニセフの研究結果によると、子どもは妊娠期から生後2歳までの1000日間にカラダだけでなくココロの健康の基礎が出来上がるそうです。
『Co育てPROJECT』では、この1000日間の育児環境をより良いものにするサポートをすべく、夫婦だけでなく周囲の協力や公的補助を含め社会全体で妊娠期からの子育てを行なってゆくCoparentingの考えを取り入れています。
今回、新開発されたCo 育てコミュニケーションアプリ「こぺ」は、夫婦間で認識のズレが生れやすい育児や家事を楽しく取り組むためのオリジナルスタンプ「夫婦専用メッセンジャー」や、出産後にパパとママの2人が入力し共有できる育児記録「育児ログ」、そのほか、育児お役立ち情報やコンテンツなどが充実。“妊娠からはじまる1000日間”のさまざまな課題解決や夫婦間のコミュニケーションなど、共同育児を後押しする内容となっています。
宮崎友恵プロジェクトリーダーは、妊娠期から乳幼児の期間が公共投資の収益率がもっとも高い点をあげ、今後、育児環境の向上だけでなく社会・経済の発展にも必要不可欠な取り組みであるとしています。
写真)Co 育てコミュニケーションアプリ
写真)液体ミルク。開封後、常温で飲ませられるためパパでも扱いやすい。
日本には、1950年代までの封建的で男尊女卑の思想が強かった「頑固カミナリ親父時代」から、1990年代まで続く高度経済成長期~バブル期の「モーレツサラリーマン時代」までの長きにわたり、父親は仕事中心で子育てに関わらないという土壌が育ってきました。
「博報堂こそだて家族研究所」の調査によると、若い世代(20代~40代/0~12歳の子どもをもつ既婚男性)の8割が、男性でも仕事と子育ての両立は必要であり、子育てに積極的に関わりたいと考えているそうです。
しかし実際には、男性の育児時間は平日2時間以内(休日2時間以上)であり、内容は育児よりも遊びに偏る傾向があります。また、職場では子育て支援制度の申請許可がおりず、「育休をとればキャリアに傷がつく」などの発言や嫌がらを受けるといったパタニティハラスメント(パタハラ)を経験するなど、上司や同僚の理解不足、会社の支援制度運営の徹底不足、役割分担意識などが根強く残っています。
東北大学ウィメンズヘルス看護学の吉沢豊予子教授は、社会全体でCoparentingの価値観を共有することが大切であり、夫婦が互いに「第一養育者である」という自覚が必要であると話します。
海外の研究によるとCoparenting導入により、出産時の夫婦関係の落ち込みが改善され、母親の育児不安やストレスが低下する結果が。さらに、子どもの発達促進や性格に影響することも分っており、「友達と仲よくする能力」「自分自信に対する肯定感」「不満感情への対処能力」「非行に走らない」「一生懸命に勉強する」などが期待できるそうです。
今後、『Co育てPROJECT』では、吉沢教授とともに妊娠期~育児期のパパやママを対象とした「Co育てプログラム」を開発。「Co育てプログラム」の介入が、育児や子どもの発育にどのような影響を与えるかを研究し、地方自治体や産院等の希望団体に無償で提供するとともに、担当者へのレクチャーや効果研究結果提供も継続して行ってゆくそうです。
すでに、渋谷区の外部団体「渋谷未来デザイン」とパートナー協定を結んでおり、産官学による子育ての新しい取り組みも進められています。また、プロジェクト開始にともないGlicoグループの人財制度も見直され、従来の「妊娠・育児有給休暇」の枠をこえた妊娠活動から育児参画まで目的をひろげた社内人財制度を整え、その土壌を育ててゆく方針だそうです。