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「それでも、海へ」(写真・文:安田 菜津紀 出版社:ポプラ社)
で、本題でございます。
安田様も幼少時代にお母様から読み聞かされていたように、戦争や平和をテーマにした絵本は日本にはたくさんございます。昨年は、憲法に関する絵本も注目を集めておりました。ただ、安田様も取材されております難民問題を扱った絵本はかなり少ないのでございます。日本の作品は、ほぼないと言っても差し支えないかもでございます。
安田様も難民問題について様々なメディアを通じて訴えていらっしゃいますが、まだまだ、日本人には他人事と考える方が多いのかもしれません。でもでもでごさいます。今後、少子高齢化が進むと難民、移民問題は他人事ではございません。お子様はもちろん、大人の方にも、難民問題を扱った絵本を読んで頂きたいのでございます。知ってもらう、感じて頂きたいのでございます。
ちなみに、海外では難民を扱った絵本が近年、たくさん出版され注目を集めております。日本でも最近になってやっと翻訳本が出版されるようになってまいりました。
とはいえ、翻訳本の難民絵本は、ターゲットが少し高めで幼い子用のもとはまだまだ少ないのが現状でございます。そんななか、幼い子から大人まで楽しめる(楽しめるという言い方ものは語弊があるかもしれませんが)絵本が先日出版されたのでございます。
「ジャーニー 国境をこえて」(作:フランチェスカ・サンナ 訳:青山 真知子
出版社:きじとら出版)
戦争がはじまり、自国から他国へと旅を余儀なくされた家族の物語でございます。森を抜け、海を渡り…、彼らの生活がリアルに映し出されております。彼らの過酷な旅をただリアルに説明するのであれば、ドキュメンタリー映画でもニュースでも語れるのでございます。
しかし、この作品は絵本として語ってくれているのであります。ニュース等で見るより、よりストレートに心に伝わってくるのでございます。難民をテーマにした絵本がいくつかありますが、この絵本は絵本としての魅力がゴイスーなのでございます。なにより絵が美しく、子どもの目線で語られているのでございます。
作者のフランチェスカ・サンナ様は、イタリアのサルデーニャ島生まれ。様々な国でイラストレーションを学び、おととし、この絵本をイギリスで出版されました。グラフィカルなイラストレーションが美しく、すでに20ヵ国語に翻訳されております。
ケイト・グリーナウェイ賞候補から選ばれるアムネスティCILIP特別賞、全米イラストレーター協会ゴールドメダル、エズラ・ジャック・キーツ賞次点など、数々の賞を受賞、世界的な評価を受けている絵本でございます。
是非一度、手に取って、海外では、こんな素敵でジャーナリスティックな絵本が話題なんだなと、ご体感くださいませ。
(文:絵本トレンドライター N田N昌)