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"ピンク映画の黒澤明"と言われるほど、エロ映画の枠には収まりきらない傑作映画を量産した若松孝二監督が亡くなったのは、2012年10月17日。
そんな若松孝二監督の若かりし頃のエピソードと若松プロダクションの人々を描いた青春映画『止められるか、俺たちを』が現在公開中です。
舞台は1969 年。“若松プロダクション”の門を叩いた少女。右も左も解らないまま、ピンク映画の世界へ。
そこにいたのは、もうイケイケの頃の若松孝二監督。当時30代。元ヤクザで、映画を作り出したキッカケも「映画の中なら警官を倒せる」と語る発想から行動まで全てがアクティブすぎる天才監督。最初こそ、若松監督に「カス!タコ!俺の視界に入るな!!」と怒鳴られる主人公。しかし、メキメキの仕事を覚えていき、助監督として活躍していきます。
主人公の目から見た若松監督は、行動力があり、天才ながらも、理不尽で、怒鳴ってばかり。それでも、愛くるしいトボけた愛嬌で、周りに友人の多い愛されキャラ。
「若松孝二にはイケメン過ぎる」と思っていた井浦新がクリソツに熱演。当時の若松孝二が見事に甦ってるのが素晴らしいです!!
そんな若松監督に尊敬の念や怒り、嫉妬心など様々な感情を持つ主人公。その周りを取り巻く若松プロの面々。映画作りに挫折して抜けていく者や若松監督に怒りをぶつける者。そして、主人公も「監督にはなりたい。でも、自分がどんな映画を作りたいのか解らない」という悩みを抱えていきます。
そうなんです!!本作は、"ピンク映画界のお仕事映画"から、"まだ何者でもない若者の青春映画"へとシフトチェンジするんです!!
主人公の若松プロの助監督をする少女を演じるのは、門脇麦!!
白石監督いわく「門脇さんの魅力は健康的な雰囲気と60年代に纏っていそうなアンニュイな雰囲気を同時に合せもっているところ」。
気鋭の映画監督から政治活動へ足を踏み入れていく若松監督。自らの将来を模索するという普遍的な悩みを抱えつつ、困惑しながらも若松監督に着いていく主人公を熱演!!
今やレジェンド級のメンツの若かりし頃のエピソードに急な親近感!!当時の映画の再現シーンのクオリティの高さ!!まるで、当時の若松プロのメイキング映像を観ているかのような興奮!!そして随所から感じられる"若松監督への愛"!!
この映画好きのハートに火をつける本作。メガホンをとったのは白石和彌監督!自身も若松プロダクション出身であり、『凶悪』で第 37 回日本アカデミー賞優秀監督賞を受賞、『彼女がその名を知らない鳥たち』(17)、『孤狼の血』(18)など、いまや日本映画界を牽引する俊英。師匠・若松孝二が時代と共に駆け抜ける姿を見事、作品に凝縮!!
白石監督自ら「映画を武器に戦ってきた若松さんの声をもう一度聞きたい」と本作を企画。若松監督が亡くなった後、活動の滞っていた若松プロダクションの記念すべき映画製作再始動第一弾を是非、劇場で!!
(C)2018 若松プロダクション